「人生でどの段階にいる人にも同時に訴えかけるものにしたかった」―映画『リメンバー・ミー』共同監督のエイドリアン・モリーナ氏インタビュー

エイドリアン・モリーナ共同監督

エイドリアン・モリーナ共同監督

2018年の第90度アカデミー賞(R)で長編アニメーション賞・主題歌賞にノミネート、そして見事この2部門でダブル受賞となったディズニー/ピクサー最新作『リメンバー・ミー』がいよいよ公開となった。本作で描かれるカラフルな世界を、『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督とともに作り上げた共同監督のエイドリアン・モリーナ氏にインタビュー。ちなみにモリーナ氏は楽曲製作・編曲担当のジャーメイン・フランコ氏と3つの歌も書いている。

――『リメンバー・ミー』で描かれる内容は、日本人にも馴染みやすいテーマでした。

とても普遍的な家族に対するテーマですが、これは私たちが映画を作りなたら発見していったことでもありました。私たちには祖先も含めて家族としていろんなストーリーがありますよね。それを深めれば深めるほど、自分のこともよく知ることが出来ると思います。

――また、死後の世界が楽しみになるような描写も気分を高めてくれます。

まさに、死者の国というのは楽しいところなんです。人が訪ねてくることを喜んでワクワクしている。一年に一度の祝祭の日というのは、死者の日は祖先も含めて家族が一堂に会する再会の時。なので、祝祭気分で歌ったり踊ったりするパーティーっぽい雰囲気は映画にぴったりだと思ったし、実際(モチーフとなった)メキシコでどうやって祝祭日が祝われているのかを表せると思いましたね。

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

――子供が感じるようなワクワク感や、誰でも当てはまる家族についての思いなど、とてもバランスよく作られていますよね。

ピクサーでは映画を作る時、アーティストとして我々が楽しめて、みんなが惹かれる物を作りたいと考えています。もちろんそれは子供にとっても適切でなくてはいけません。人生においていろんな段階があって、それぞれ違う形で家族を経験しますよね? 自分が子供の時、親になった時、祖父母になった時、曾祖父母になった時…この映画では自分の人生でどの段階にいる人にも同時に訴えかけるものにしたかったし、それぞれが自分について考えられるようなものにしたいと思いました。

――本作ではお婆ちゃんがとてもミゲルに厳しいですよね。例えば『モアナと伝説の海』のお婆ちゃんは親の影に隠れて主人公の背中を押してくれるような存在でしたが、子供たちが好きな存在であるお婆ちゃんが厳しい立場にいるのはどんな意図でしょうか?

ミゲルの家は女権家族というか、家長として家を纏めているお婆ちゃんが権力を持っているんですね。彼女は家族の価値観や伝統を次の世代に伝える役割があると、非常に責任を感じていると思います。そして、ミゲルにとっては曾祖母であるイメルダの孫として、イメルダが受けた音楽からの痛手(=ミゲル一家が音楽を禁じられるきっかけ)を引き継いで、家族を守っている。こういうキャラクターを作ることで、対立を描けると思ったからですね。ミゲルのやりたいことは、家族の期待(家業を継ぐこと)から外れているので、そうやって唯一他の家族と違うことをやっているミゲルと、家族がどうやってお互い助け合うかということも描きたかったんです。

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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――ちなみに、本作でエイドリアンさんが共同監督を務められることにはどういう意味があったのでしょう?

『トイ・ストーリー3』でも一緒に仕事をしたリーとは、持っているスキルがお互いを補完し合うものでした。いろんなパートを一つにつなげて面白いものにするという編集作業がリーで、私は作品作りの材料やアイデアを作る“ストーリー・アーティスト(文字の視覚化)”としての役割。これはある意味完璧なパートナー関係だったと思います。僕たち2人で一緒に新しいアイデアを作って、それを磨き上げていったことで、みんなが惹きつけられるストーリーを作っていくことができたと思っています。

――ちなみにエイドリアンさんは楽曲も手がけられていますが、一番こだわったところはどんなところでしょう?

メキシコの伝統音楽を作品に反映したかった。それはいろんなスタイルがあるメキシコの音楽を紹介する、という意味もあるし、歌の歌詞は、歌っているキャラクターのストーリーを語るようにしているよ。例えばミゲルなら家族について語ることが多いし、音楽はその時の感情やストーリーを伝える役目をしているね。

――では、曲のイメージづくりはストーリー側からでしょうか? それともキャラクター側からでしょうか?

必ずキャラクターの事を先に考えるようにしています。音楽というはとても個人的な表現だと思うけど「口では表現できないけど何かを表現したい」という時に音楽を使っているから、「このキャラクターが秘めているメッセージは何だろう?」ということを考えることが大事なわけで。そういう意味でまずキャラクターのことを考えているよ。

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

――曲以外ではガイコツ(=死者)の表現もこだわられたと聞いています。どんなところに注力されたのでしょうか?

映画の歴史を振り返ると、ガイコツは「危険」だとか「悪しきもの」というイメージ繋がっていることが多いと思いますが、この映画では「家族」や「友人」であることを表したかったんです。そのためには非常に細かい感情を示さなければいけないということで、目を与え、眉のようなものを付けることで、(恐怖の対象ではなく)人間としてのつながりを感じられるようにしました。

――最後に、このカラフルな世界で、見落としがちなところでこだわっているポイントがあれば教えてください。

言葉で説明はしていませんが、絵として示しているある種のロジックを作ったんです。それは、ある種のファミリーツリー(系図)のようなもので、死者国にはいろんな違う時代の建物があるんです。中央アメリカの初期の文明を表すものとしてピラミッドがあって、その上にヨーロッパ調の建物があって、その上に現代の建物があるといったように、死者の国ではあるけれど、いろんな世代の人が次々来るのでその世代の重なりを建築で表現しているんです。


映画『リメンバー・ミー』/同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』
公開中

監督:リー・アンクリッチ
共同監督:エイドリアン・モリーナ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
原題:COCO
全米公開:2017年11月22日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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