【祝・オスカー受賞】辻一弘氏来日!「自分をもっと信じるべき」とメッセージ―映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

日本人個人としては26年ぶりのオスカー受賞

日本人個人としては26年ぶりのオスカー受賞

「政界一の嫌われ者」から「伝説のリーダー」になったウィンストン・チャーチルを描いた真実の物語『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(3月30日日本公開)。先日4日(現地時間)に開催された第90回アカデミー賞(R)にて、作品賞含む6部門のノミネートからゲイリー・オールドマンが主演男優賞を、辻一弘らスタッフがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞し、見事2冠に輝いた。

その辻一弘氏がオスカー像を手に、映画公開前に日本へ凱旋来日。都内にて記者会見を行なった。本作を手がける数年前に一線を退き、現代彫刻家として活動していた辻氏は、ゲイリー・オールドマンからの依頼で現場に復帰することになった。

人生に一度あるかないかの仕事

「ゲイリーさんと最初知り合ったのは『猿の惑星』(01)でした。そして、2002年に僕が作った肖像の作品を個人的に観られた時に感動されて『いずれ一緒に仕事をしたいね』と。でも同じ仕事をする機会がなかったし、2012年には僕が映画から離れてしまった。2年前にゲイリーさんから『チャーチルの映画をやるんだけど、君がメイクをするなら仕事をするけど、無理ならやらない』とメールを貰って。僕はその時映画の仕事をしてなかったので『考えさせてくれ』と返事をしました。すぐ返事をしなかったのは、決心して映画の仕事から離れたので、ここで簡単に受けることは自分の人生を裏切る気分でした。ただ、もちろんゲイリーさんとは仕事はしたかったし、もともと特殊メイクを始めたきっかけはディック・スミスが手がけたエイブラハム・リンカーンのメイクを見たから。これがやりたいと。自分の経歴の中でそういう仕事がしばらくなかったんですが、ようやくそういう機会をゲイリーさん本人が持ってきてくれた。これは人生に一度あるかないかの仕事なので受けました」

辻一弘氏

辻一弘氏

そんな中でのオスカー受賞。辻氏はゲイリー・オールドマンとの思い出を振り返る。

「この仕事が始まったとき『もしも2人でオスカーが獲れたら本当の意味でリタイアできるね』と冗談を言い合っていたんですね。そしてアワードシーズンが来ると会場にはいつも一緒に行っていました。ゲイリーが賞を取り始めて、僕もイギリスのエミー賞とクリティックチョイス・アワード(批評家賞)、メイクアップの組合賞…徐々に積み重なっていって結果的に一番大きなオスカーを2人で獲れた時は非常に嬉しかったですね」

また、自身の名前が呼ばれたときのことは「呼ばれた瞬間は、スピーチを終わらせることに必死で、覚えていない」とコメント。「自分の目の前にいる有名な役者を観ずに、ゲイリーだけを見てスピーチを終わらせようと必死でした」

1人の芸術家としてオスカー像の造形を聞かれると「素晴らしいですね」と一言。「他のトロフィーと比べてもデザインが素晴らしいですし、重みも違います」という辻氏は、「授賞式後のパーティーで少し話したくらいなので、もう少し落ち着いたら会いたいですね」と授賞式後ゲイリー・オールドマンとじっくり話せていないことも明かした。

アカデミー賞授賞式では冒頭司会のジミー・キンメルから造形についてもイジリがあったばかり

アカデミー賞授賞式では冒頭司会のジミー・キンメルから造形についてもイジリがあったばかり

あのメイクの裏には猫の存在も?

今回の映画については「今までノミネートした2作とは違って、今回は素晴らしかった。期待感も大きかったし、やることやることに意味もあったし、結果も出せました」とコメント。自身の仕事については「メイクとして見えないようにすることをゴールにしました。似せるために付けすぎるとマスクのようになってしまうので、付けすぎずに似せるバランスを作り出すのが難しかったですね」と解説。さらに、仕事を受ける際、ゲイリー・オールドマンに注文も出したのだという。

辻一弘氏

辻一弘氏

「ゲイリーさんに『僕はセットでメイクしたくない』と言ったんです。それは、僕が映画界を去った理由の一つは、大勢の中で仕事をするのが辛かったということがあったから。撮影は朝から晩までで大変ですし、一番最初に現場に入って最後に出るような仕事。今回僕がデザインして、テストメイクをして、フィルムテストをしてメイクを完成させた後に、デビット・マリノウスキとルーシー・シビックにそれを伝えて任せていました。メイク時間は3時間30分くらいですね。撮影は48日間で、結構タイトなスケジュールでしたが、ゲイリーさんやスタッフ全員素晴らしい人達ばかりが集まっていたのでこういう素晴らしい映画が出来たと思います」

そして、記者から「(辻氏のドキュメンタリーで見かけた)仕事場で飼っていた猫は創作活動に役に立つ?」という質問に「非常に大事な存在」と解答。「猫の凄いところはすぐに私のストレスを吸収してくれることです」と2008年から一緒にいるという猫について「今も元気です(笑)」と頬を緩める場面も。

東京五輪の年には個展も開きたい

さらに、これからの活動について聞かれた辻氏は「あくまでファインアートがメインですが、本当にやりたい仕事があれば、条件次第ではやりたいですね」とコメント。「2020年頃には個展を日本でやろうとしているので、いまはその準備が色々忙しいんです。下調べとか、スポンサー集めとか…」と直近での活動についても明かしてくれた。

最後には改めて受賞したことに「この映画が獲ったということが意味があるし、メイクもその一部として認められた。こうやって今日本で会見もできるし、特殊メイクを目指している人に夢を与えられたと思う」とし、さらに「やりたいことは自分の心に正直になってやらないとあとで後悔する。そして自分をもっと信じるべきですね」とメッセージも送っていた。

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』第90回アカデミー賞(R)ノミネート&受賞結果(★が受賞)

作品賞/★主演男優賞:ゲイリー・オールドマン/★メイクアップ&ヘアスタイリング賞:辻一弘、デビット・マリノウスキ、ルーシー・シビック/美術賞:サラ・グリーンウッド、ケイティ・スペンサー/撮影賞:ブリュノ・デルボネル


映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
3月30日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン
2017年/イギリス/125分
ユニバーサル作品配給:ビターズ・エンド/パルコ

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