新作映画『きみへの距離、1万キロ』を観るべき3つの理由―――アイデアが光る「許しと癒し」のラブストーリー

(C) Productions Item 7 – II Inc. 2017

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『きみへの距離、1万キロ』ってどんな映画?

デトロイトに暮らすゴードンは“運命の人”だと信じていた恋人にフラれて、意気消沈。そんな彼の仕事は、クモ型の監視ロボットを遠隔操作し、北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプラインを警備すること。ある日、監視ロボットが捉えた現地に暮らす女性の姿に、ゴードンは胸騒ぎとときめきを覚える。若く美しい彼女の名前はアユーシャ。両親から不本意な縁談を押し付けられた彼女は、将来を誓う恋人との国外逃亡を計画していたが…。

観るべき理由:1――ささやかだけど、忘れがたい映画体験

拾い物…なんて表現は映画に対して失礼だが、それでも普段なら見落としがちな小規模作品に出会い、そこから驚きや感動、衝撃やサプライズを受け取ったとすれば、これぞ映画ファン冥利に尽きるというもの。本作はまさに、ささやかだが忘れがたい映画体験を味わえる秀作だ。

アメリカに暮らす青年が、1万キロ離れた北アフリカでピンチに立たされた女性を手助けする。そんなアイデアが光る本作は、一度は絶望した人生に光を見出そうとするゴードン、命の危険を冒してでも人生を切り開こうとするアユーシャの“願い”がスリリングに交差しながら、予想外の展開が待ち受ける「許しと癒し」のラブストーリーである。

観るべき理由:2――テクノロジーで幸せに? 現代人が避けられないテーマ

そんな2人を結びつけるのが、通信テクノロジーの存在だ。監視ロボットに搭載されたカメラを通して、ゴードンが1万キロ離れたアユーシャを見守るだけではなく、通訳機能により、彼らは言葉の壁さえも超えることができる。アユーシャ側から、ゴードンの姿を見ることはできないが、だからこそ、2人が築き上げる信頼関係が強いものになっているように見える。

果たして、テクノロジーは人間を幸せにできるのか? そんな問題提起が、本作の裏テーマ。運命の相手を見極める方法は「キスをして、キスされてどう感じるかが問題だ」と語るのは、砂漠で迷子になった盲目の老人。ITとは無縁で、“ふれあい”を頼りに生きてきた彼の言葉が、映画のエンディングで心地よい感動をもたらしている。

観るべき理由:3――かわいい! 映画のもう“1人”の主人公

映画のもう“1人”の主人公といえるクモ型の監視ロボットが、とにかくかわいいのも見どころ。一見、無機質なルックスだが、ひとたび6本足で動き出すと、なんとも言えない愛くるしさがあり、健気な一面ものぞかせる。大きなレンズの瞳がチャームポイントだ。

もちろん、パイプラインを石油泥棒から守るという重要な任務があり、ときには遠隔操作で相手に威嚇発砲することも。前述の通り、通訳機能もあり、老若男女どんな声色も出せる。『スター・ウォーズ』シリーズのBB-8に負けず劣らずの存在感である。ちなみに体重は14キロ。体高、体長、奥行きはすべて40センチなんだとか。

(文:内田涼)


映画『きみへの距離、1万キロ』
4月7日公開

監督・脚本:キム・グエン『魔女と呼ばれた少女』
出演:ジョー・コール、リナ・エル・アラビ、ファイサル・ジグラット、ムハンマド・サキ
2017/カナダ/スコープサイズ/英語・アラビア語/カラー/91分/DCP/原題『Eye On Juliet』/日本語字幕:中沢志乃/映倫G
配給:彩プロ

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