【インタビュー】『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』のソン・ガンホ「この映画は私に幸せを与えてくれた。それが伝われば」

(C)2017 SHOWBOX AND THE LAMP. ALL RIGHTS RESERVED.

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韓国観客動員1,200万人突破、2017年韓国No.1大ヒット作にして、第90回米アカデミー賞 外国語映画賞に韓国代表として出品もされた『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(4月21日日本公開)から、主演のソン・ガンホのインタビューが到着した。

―映画『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』の紹介をお願いできますか?

この映画は1980年の光州に取材に来たドイツ人記者ピーターとソウルから彼を乗せてきたタクシー運転手マンソプが出会った物語であり、ごく平凡な人々を描いている映画だね。

―あなたが演じたマンソプはどんなキャラクターでしたか?

マンソプは11歳の娘を1人で育てるシングルファーザー。そして古びたタクシーが全財産という平凡なタクシー運転手だ。外国人客を乗せて光州に行き、通行禁止時間前までにソウルに戻ることができれば滞納してる家賃が払えるほどの金額(10万ウォン)をもらえるという話を聞きつけ、言葉も満足に通じないドイツ人記者を乗せて光州へと向かうような人物なんだ。

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―出演オファーを受けた時、一度断ったのはなぜですか?

80年の光州民主化運動は韓国現代史における最大の悲劇であるため、この映画の出演オファーをもらった時に大きなプレッシャーを感じたことは事実だ。“果たしてソン・ガンホという俳優が、このような歴史的事実を表現するに値するか?”“観客をがっかりさせないような良い作品を作れるか”という事がプレッシャーとなり、一度は断った。悪い意味でのプレッシャーではなく、“健康的なプレッシャー”という表現が相応しいね。

―それでもこの作品への出演を決心したきっかけは?

その後、時間が経つにつれて映画のことが気にかかるようになった。作品の持つ意味とエネルギーとが私の心を刺激していたのだろう。この映画が持つ情熱を観客と共有したいという切実な願いが募っていったんだ。

―これまでも光州事件をモチーフとした映画はありますが、本作はどの点が違うと思われますか

光州事件を扱った他の映画との一番大きな差は、基本的な人間の常識と道理における話を扱っているという点だと思う。マンソプがドイツ人記者を乗せて光州に向かったのも、職業倫理の側面よりは人としての道理、つまり最も常識的な道理に従ったまでのことだと思う。

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―マンソプというキャラクターを演じる上で、どんな部分に主眼を置いていましたか?

マンソプの仕事はタクシー運転手だが、つまりは韓国の一国民だ。タクシー運転手キム・マンソプという個人の視線ではなく、歴史的な事件を目撃した大韓民国の国民の1人であるという視点を常に念頭に置きながら演じていたよ。

―『弁護人』『密偵』など、これまで現代史を背景にした作品に出演されています。本作も1980年の光州を描いていますが、他作品との違いをどう考えていたのでしょうか。

過去の歴史を扱っているからと言って、特別な意識を持つ必要はないと考えている。確かに『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』は近現代史における悲劇を扱っているが、悲劇的な側面を悲しみだけで表現したり事実のみを描こうとはしなかった。そういうことよりも、この映画を通じて何を伝えたいかという部分について考え、希望の持てる前向きな映画を作ろうと努力した。

―1980年の光州について、どのように記憶していますか? 本作を撮影していて心境の変化があったとすれば、どのような部分でしょうか?

当時、私は中学2年生だった。ラジオで“暴徒らを鎮圧した”というニュースを聞いた記憶がある。思い返せば情報統制や事実の歪曲によって目や耳をふさがれた時代だったのではないかと思う。あれから長い年月が経ち、忘れられない痛みが持つ本質を知るようになった。特に撮影中は、無残にも犠牲になった人々の思いや光州の状況を世界に知らせるために努力した方々の高貴な精神を映画に込めて、多くの人たちに伝えるような努力をした。

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―実在の人物を演じることにプレッシャーはありましたか?

撮影中はキム・サボクという人物について名前以外の情報はなかった。それが本名なのか、どのような人物なのか、ご存命なのかすら分からないという状況で彼を演じた。よく知られている人物でもないので、客観的な事実に重点を置き演じたのは事実だが、実在の人物であることから慎重さは欠かさなかった。さらに、大衆映画としての美徳を生かしつつ、この人物を演じなければと思っていたので、奥の深い人間味豊かなキャラクターに見えるよう努力をしたよ。

―チャン・フン監督とは『義兄弟~SECRET REUNION』以後、2度目のタッグです

チャン・フン監督の『義兄弟~SECRET REUNION』の撮影はとても楽しくていい思い出がたくさんある。チャン監督は映画に対する強い探求心がある、とても頭の良い人だ。 『義兄弟~SECRET REUNION』よりも『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』はスケールが大きく、扱うテーマもさらに奥深く、映画が持つ影響力もまた大きなものとなったが、監督の持つ信念や世界観が揺るぐことはなく、その姿が非常に印象的だった。 とても楽しい作業だった。

―共演のトーマス・クレッチマンさんはいかがでしたか?

4ヵ月を越える長期間、不慣れな国で撮影をすることは決して容易な作業ではなかったはずだ。にもかかわらず、いつも現場で明るく振る舞い渾身の演技を見せてくれた。どんなシーンでも軽々しい演技はせず、分からない部分は必ず尋ねて完ぺきに理解をしてから演技に臨む姿を目の当たりにして、真のプロフェッショナルだと感じた。また猛暑で苦労していた時、トーマスは俳優やスタッフ陣に対する配慮を欠かさなかった。彼は人格者でもあったね。

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―ユ・ヘジンさんとは、意外にもこの作品が初共演だったとか

ユ・ヘジンさんとは20年を越える付き合いだが、これまで一度も共演したことがなかった。 この『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』を共にできてとてもうれしい。彼は後輩だが、撮影中にスケールの大きい俳優だという印象を受けた。作品の完成度を上げるために自分がどうすべきかということをきちんと知っていたし、それゆえ、熱心に演じようとする姿が感動的だった。

―後輩俳優、リュ・ジュンヨルさんとの共演はいかがでしたか?

リュ・ジュンヨルとも初めて共演した。 とても自然で魅力的な演技をする俳優であることは知っていた。すでに彼には多くのファンがいたが、共演してみて“なるほど、だから愛されるんだな’ということが分かった気がした。 作品に対する情熱に感心したし、あの年齢とは思えぬほどの深みを感じた。

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―この映画における陰の主人公は、やはりタクシー。 運転やタクシー内での撮影も多かったように思いますが、苦労した点は?

当時、実際に走っていた車種のブリサを使用した。今の自動車よりサイズも小さめだった。タクシーを運転する場面が多かったので、実際に車中でかなり多くの撮影が行われた。 初めは狭くて暑くて不便だらけだったが、慣れてくるといつからか、その場所が心地よく思えてきた。 実際に運転をしたが、特に大変だった点はない。ただ、感情的なシーンは、演技と運転の2つを同時にこなさなければならず、その点については苦労したね。

―観客にメッセージをお願いいたします。

素晴らしい監督、俳優、スタッフ陣との撮影は、私に幸せを与えてくれた。私が感じたその幸せが観客の皆さんにも、そのまま伝われば嬉しい。 『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』が温かい映画として、皆さんに記憶されるように願っているよ。


映画『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』
2018年4月21日より、シネマート新宿ほか全国公開

監督:チャン・フン『義兄弟~SECRET REUNION~』『高地戦』
出演:ソン・ガンホ(『密偵』『王の運命 -歴史を変えた八日間-』)、トーマス・クレッチマン(『戦場のピアニスト』『ヒトラー ~最期の12日間~』、ユ・ヘジン(『コンフィデンシャル/共助』『LUCK-KEY/ラッキー』)、リュ・ジュンヨル(『グローリーデイ』『奴隷の島、消えた人々』

2017年/韓国/137分/カラー/シネスコ/5.1ch/レイティング:G/原題:택시운전사/配給:クロックワークス/提供:クロックワークス・博報堂DYミュージック&ピクチャーズ

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アーティスト情報

ソン・ガンホ

生年月日1967年1月17日(52歳)
星座やぎ座
出生地韓・慶尚南道金海

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トーマス・クレッチマン

生年月日1962年9月8日(56歳)
星座おとめ座
出生地

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