『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』謎のストリート・アーティスト、バンクシーすら手中に収めた男の末路がすごい―【TSUTAYAプレミアムで映画漬け】

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

本企画は、TSUTAYAプレミアムを利用して1日1本映画を鑑賞し、その記録を予想と感想を交えてお伝えしていくものである。

2018年7月17日の鑑賞タイトル『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

※作品データはページ下部に

鑑賞前の期待値「謎のアーティスト・バンクシーが初監督にしてオスカーノミネート作。バンクシーの目を通してグラフィティの内情が垣間見えるはず!」

ストリート・カルチャーに興味がなくても、都市部などでよく目にするグラフィティ。この手の代表格と言えるのが、この映画に登場する“謎のアーティスト”バンクシーである。来月には彼にまつわる新作映画『バンクシーを盗んだ男』が公開されるということで、人物として引っかかりを覚えていた。そして『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は謎に包まれている彼が初監督を務ている上、2010年のアカデミー賞(R)長編ドキュメンタリー賞にもノミネートした一作。ならば彼自身はもちろん、知られざるグラフィティの内部事情が垣間見えるに違いない。

鑑賞後の感想「前半の超ワクワク感…からの後半まさかの展開がすごい」

この作品、なんと主人公はフランスからロサンゼルスに移住してきた古着屋の主人。彼のある過去からカメラ片手に「今」を何でも映像に収めるようになり、それは自身も「病気だよ」と語っているほど。冒頭の映像には若き日のシャキール・オニール(NBAレジェンド)やOASISのノエル・ギャラガーとメンバーがしれっと映っており、ここまでの印象は「普通にやばい奴」。

そんな彼が地元に里帰りした時、いとこのモザイク・アーティストことインベーダーを追ううち、どんどんストリート・アートにハマっていく。「逮捕されるかもというスリルはやめられない。麻薬だね」とサラリと言うあたり、やっぱりやばい奴である。そうして彼は数々のアーティストたちを映像に収めていくのだが、それはあくまで「記録」のためであり、なにかしようとかは全く考えていない。それがシェパード・フェアリー(「OBEY」で検索!)きっかけで、映画にすることにしたというティエリー。引き続き彼との二人三脚で撮影を進め、相変わらず警察に捕まりそうになったり、「落書きは犯罪」としっかり怒られてたりする。

この「今まさにストリート・アートが生まれる瞬間」のドキドキ感や、憧れのバンクシーと運命的な出会いから信頼を勝ち得て密着していく様は本当に面白い。違法だと分かっているけど、カッコよさもあり「(悪いと)分かっちゃいるけどやめられない」というアーティスト側の思いがとても伝わってくるのである。そしてディズニーランドでのゲリラ事件を経てバンクシーにいよいよ認められたティエリーが彼から「アートの真実を語る映像を出すなら今」と言われてから物語が急転する。

ティエリーが撮りためた何千時間もの映像が90分の映画となり、それを観たバンクシーは言葉を失うのである(笑)。「彼は映画監督ではない。精神に問題のあるカメラ・オタク。見るに堪えない90分」。映像がひどすぎて「斬新だね」が精一杯の声がけだったバンクシーは、「アートやってみなよ」とティエリーに勧める。これを真に受けたティエリーはここからアーティスト道を突き進み、バンクシーやシェパードを巻き込んで「ミスター・ブレインウォッシュ(MBW)」として成功してしまうのである。

バンクシーは「ある意味ウォーホルの後継者」と皮肉たっぷりにコメントし、シェパードも「複雑な気持ち。認められるのは容易じゃない」と苦笑い。なにより、ティエリーはMBWとして活動をし始めてから謎の自身に満ち溢れており「勘違いしている大ホラ吹き」とも見えるが、いい意味で全く迷いがない。それはカメラ小僧だった頃のあの行動力からすれば納得でもあるが、良くも悪くも成功を手にしてしまうのだ。

バンクシーたちは自分たちのアート作品に誇りを持っているが、ティエリーは違う。古着屋の店主だったこともあり、やっぱり最終的には「売れてナンボ」という商売っけが凄まじいのである。ラストのエンドロールに「バンクシーはもう、ストリート・アートの映画には手を貸さない」と書かれているのが全てだろう。とても考えさせられる作品ではある。

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』で一番グッときたポイントは「ティエリーの人間力」

ティエリーはとにかくなんでもカメラに収めるのだが、周囲はそれが当たり前過ぎてもはや触れもしなくなってしまう。ただ、それが許されるのは彼の熱意(という図々しさ)あってこそのことだし、先にも書いたが「いい意味で迷いがない」からなんだなと関心。それだけ純粋だったからバンクシーですら心を開いたわけで、この人間力は見習うところもある…かも。

>『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』をレンタルしてみる
TSUTAYAプレミアムを利用してみる

>【TSUTAYAプレミアムで映画漬け】アーカイブを読む

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』について

【製作年】2010年
【監督】バンクシー
【出演者】ティエリー・グエッタ、スペース・インベーダー、シェパード・フェイリー、バンクシーほか
【あらすじ】誰もその素顔を知らないというミステリアスな素性と、社会風刺に富んだグラフィティ・アートを世界各地でゲリラ的に展開する大胆不敵な活動で世界的に注目集める覆面アーティスト、BANKSY(バンクシー)が自ら監督し、ストリート・アート、そしてアート・ビジネスの世界にユニークな切り口で迫る異色のアート・ドキュメンタリー。
【Filmarks★評価】4.0(5点満点中)

>『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』をレンタルしてみる
TSUTAYAプレミアムを利用してみる

>【TSUTAYAプレミアムで映画漬け】アーカイブを読む

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST