具志堅用高インタビュー「『クリード 炎の宿敵』は全部が徹底しているから、自分が見ても凄いと思う」

具志堅用高氏

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伝説のボクサーロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)にとって、かつてのライバルであり親友でもあったアポロ・クリード(カール・ウェザース)。ロッキーは彼の息子・アドニス(マイケル・B・ジョーダン)と出会い、その熱意に自身も動かされると、最初は「世間に色眼鏡で見られたくない」と本名を偽ってすらいた彼を導き、一流プロボクサーの道へ送り出した『クリード チャンプを継ぐ男』から3年。今度はこの2人に再びロッキーの因縁が降りかかる。それは過去に試合でアポロを文字通り葬ったロシア(旧ソ連)の王者イワン・ドラゴの息子、ヴィクターがクリード&ロッキーに挑戦状を叩きつけたのである―。

(C)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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プロボクサーとしてはもちろん、一人の男としてのクリードの成長や、ともに闘ってくれたロッキーとの関係、ただの因縁でないドラゴ親子の秘めたる想いなどが交錯しあい、さらにドラマティックな作品として描かれるのが『クリード 炎の宿敵』である。今回、自身もチャンピオンとして、トレーナーとして、ロッキーと姿がきれいに重なる、こちらも伝説のボクサーだった具志堅用高氏にインタビュー。ロッキーへのあこがれから本作の魅力までを語ってくれた。

映画『ロッキー』が公開されたのは、1976年のこと。日本で公開となった1977年4月には、具志堅はすでに世界王者となっており、2ヶ月後には2度目の世界初防衛戦が控えているようなタイミングだった。具志堅は当時国内最速の9戦目で世界王者となっていた。

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―『ロッキー』が製作されたのは、具志堅さんが初めてチャンピオンになった年(1976年)でした。

最初から観ていましたね。ロッキーがロードワークしているときの格好とかね、すぐ真似しましたよ(笑)。昔のボクサーはみんなあんな感じでね。牛乳に生卵入れて飲んだこともあるし、ゴーヤーを入れたこともあったけど、これは入れないほうが良かったな(笑)。

―すごく影響を受けたんですね。

現役のチャンピオンの時に観ているからね。(『ロッキーは』ヘビー級なので)迫力も違ったし。映画は感動しましたね。自分がお客さんに(試合で)感動を与えるっていうのは意味がわからなかったけど。だから一生懸命戦っている姿を見せれば、お客さんは感動するかなって思って、それこそ『ロッキー』の試合と同じような戦いを諦めずにやってきましたからね。現役のときは今と違って15Rだったし。

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―一流の選手として活躍して、現在は選手を育てる側となった具志堅さんから見て、今回の『クリード 炎の宿敵』はいかがでしたか?

僕はロッキーが大好きだから、真似をした現役時代はもちろん、トレーナーとしてのロッキーも凄いから、こういうのはなおさら真似したいよね。僕は今ジムでたくさんの選手を抱えているけど、彼らに与えるアドバイスと言うか、見ていて「すごいなぁ…」と勉強になりましたね。ボクシング技術だけじゃなくて、家庭の話とかにも繋がっていくでしょ? この“ボクシング以外のアドバイス”っていうのは、選手はすごく頭に入るんですよ。僕はこれが今の時代には一番大事なことだと思っていますね。

―やはり、今の生活の延長にあるものとして見えましたか?

うん。でも、これはボクシングじゃなくても、どのスポーツの世界でも、一番大事なことですね。一人じゃ何も出来ないんですよ。サポートがないとだめだし、家族愛もないといけないし、彼女も…いなきゃいけないと思うし。

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―(笑)。では、プロ目線で見てファイトシーンはどう映りましたか?

レフリーもリングアナも会場も、本物の世界戦のように作り上げているよね。(物語後半に登場する)ロシアの会場はWBSS(World Boxing Super Series)で使われていたし、やる試合がヘビー級。迫力があるから面白いし、感動もあるんでしょうね。やっぱり軽量級ではああいう画は出ないと思いますね。(演者たちの)パンチも…繰り出すフックとか、普通素人はあんなパンチは打てないよ。

―プロが見てもそうですか…

うん。綺麗なフック。ボディも。昔のボクシングの試合はグローブが小さかったから、上に撃つのが多かったんですよ。今はみんなボディでダウンする。軽量級でもね。このボディ攻撃というのは、今の時代に合わせていますよね。

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―細かいところでもリアルなんですね。

だから骨にヒビが入ったりね、実際そうなるボクサーも多いんですよ。日本での世界戦もダウンで勝負が決まったりね。でも俺のときはまずないですよ、ボディで試合が終わったっていうのは。

―そういう変化がよく描かれていると。

そうなんです。

―ヘビー級は面白いということでしたが、素人目で見た時に、怖くもありました。ヴィクターの「人が死ぬんじゃないか」というパンチの重さとか…

映画はリング上で撮ってると思うけど、それがまた迫力を生んでいるんだよね。音は、大きく出しているけど(笑)。でも、僕は中途半端なのが一番嫌いなんですよ、なんでも。この映画は迫力、パンチが当たる角度や音とかが、全部徹底して凄い。だから(ボクシングを経験してきた)自分が見ても「凄いな」って思うんですよ。逆にそういうのが全くない人は怖いと思うのかもしれないけど、実際目の前で見たら凄いと思うよ。TV(や映画館)じゃなくて会場で見るとまた違うし。

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―ボクシングというスポーツは映画を通じてすごくショウビジネスだな、と感じる部分も大きかったです。具志堅さんからみても「日本でもこういう規模の試合をしたい」と思われますか?

みんな、したいですよ。格好良くやりたいですよ。でもお金がかかるからね…誰でも東京ドームでやりたいよね。大きいところね。

―例えば日本人の選手はそういう意味でも世界チャンピオンを目指すものなのですか?

そう。世界戦のリングに上がるのを経験した人は、たまらないんだよね。そしてやっぱりもう一回上がりたいというのが多いね。戦うまでの準備で頑張ったっていうのと、いろいろなものを乗り越えてリングに上がるから。大舞台でもっともっと試合したいって思うんじゃないかな。

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―ちなみに、本作に限ったことではないと思いますが、ボクシングシーンで自身や教え子と姿を重ねることはありますか?

やっぱりちゃんとしている人はしていますよね。たまに選手が走っているところを見に行ったりね。ロッキーもそうでしょ? 時々感じていることをポーンと言うじゃない? それなんですよね、素晴らしい一流のトレーナーは全員そうですよ。数多く助言せず、選手の気持ちを読み取るというか、そういうのが凄いなと思ったり。

―そういうところが憧れたり真似したくなると。

なるね。我々もそうだけど、ボクシング人はせっかちな人が多いんじゃないかな。映画ではみんな冷静に対応しているから、そういうふうになりたいよね。大事な試合やことにはそういうのが必要かなって。

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―では最後にメッセージを頂けますか?

この映画では、リングの中もそうだけど、リング外の戦いもしている。家族も大事だし、勝つことも大事。普通の社会人にとっても、人生において共通する面がいっぱいある作品かなって思うね。あとはやっぱり『ロッキー』からの因縁の流れで今こうやって(シリーズの映画化を)実現できるのは素晴らしいことだと思いますよ。

具志堅用高氏

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『クリード 炎の宿敵』
デジタル配信中(セル)、2019年5月10日(金)Blu-ray&DVDレンタル・発売、デジタル配信(レンタル)開始

クリード チャンプを継ぐ男

クリード チャンプを継ぐ男

出演者 シルベスター・スタローン  マイケル・B・ジョーダン  テッサ・トンプソン  フィリシア・ラシャド  アンソニー・ベリュー  グレアム・マクタヴィッシュ  ウッド・ハリス  リッチー・コスター  ジェイコブ・スティッチ・デュラン  アンドレ・ウォード
監督 ライアン・クーグラー
製作総指揮 ニコラス・スターン
脚本 ライアン・クーグラー  アーロン・コヴィントン
音楽 ルートヴィッヒ・ヨーランソン
概要 シルヴェスター・スタローンが若い才能とタッグを組み、「ロッキー」シリーズのスピンオフとしてロッキー・バルボアの新たなる物語を描く感動ドラマ。孤独に生きるロッキーが、盟友アポロ・クリードの息子に乞われ、トレーナーとなって二人三脚でボクシングの頂点を目指す師弟の熱き絆を描き出す。アポロの息子役には「フルートベール駅で」のマイケル・B・ジョーダン。監督も同じく「フルートベール駅で」のライアン・クーグラー。妻に先立たれ、孤独に暮らすロッキー。ある日、彼の前に一人の青年アドニスが現われる。彼の父は、かつてロッキーと死闘を繰り広げた永遠のライバルにして親友のアポロ・クリードだった。プロボクサーを目指す彼は、ロッキーにトレーナーになってくれと直談判にやって来たのだったが…。

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