『TSUTAYAプレミアムでドラマ沼』は、定額サービス『TSUTAYAプレミアム』を活用し、どんな連続ドラマでも「第1話」「中盤話」「最終話」の3話分のみ鑑賞し、感想と★付け評価でざっくり紹介していく“超・時短ナビ”である（※最終回を含むため、紹介上、ある程度のネタバレに触れざるを得ないためご注意を）。

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今回選んだタイトル『嘘の戦争』

今回は、2021年放送予定の吉沢亮が主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』に、草なぎ剛が徳川慶喜役で出演することが決まったというニュースを目にしたので、こちらをチョイス。

『嘘の戦争』を選んだ3つの決め手

決め手その1『草なぎ剛』

これまで数多くの作品に出演してきた彼が、日本を代表する名優の一人であることに、異論を唱える人は少ないだろう。パブリックイメージをいとも簡単にぶち壊す彼の演技は、まさに変幻自在だ。

決め手その2『復讐もの』

今作は『銭の戦争』に続き、同じスタッフが集結した草なぎ剛による「○○の戦争」シリーズの第2弾。といっても世界観は別物なので、今作だけでも十分に楽しめる。どんな相手にどう復讐するのか興味津々だ。

決め手その3『濃厚』

当時もそう感じたが、改めて出演者の名前を見ると、藤木直人、水原希子、菊池風磨、マギー、姜暢雄、神保悟志、大杉漣、山本美月、安田顕、市村正親らと豪華かつ濃厚。演技バトルの火花が早くもちらつく。

『嘘の戦争』3話分の感想

第1話「草なぎ剛の詐欺師ぶりとテンポ感ある展開で見応え抜群」

復讐ものは、主人公の境遇やリベンジする相手、そしてその手法が肝。そういう意味で今作の主人公は、幼い頃に家族を殺された男が成長して天才的な詐欺師となり、
巨大企業を相手取るという、王道ながらスケールの大きそうな設定だけに期待感は高まる。キャスティングもクセありで、そこも事前評価は合格点だ。

そんな期待を軽々と超えてきた第1話だったが、少しだけもったいないなと思ったのは、主人公・一ノ瀬の素性というか動機にあたる部分を、わりとあっさり明かしたこと。テンポ的には小気味よく観ていて気持ちいいが、ミステリアスな雰囲気を漂わす草なぎ剛の妖艶な演技をもっと楽しみたかった。

とはいえ主要キャラの顔見せになりがちな初回エピソードにしては、スリリングさとキャストの好演でいい感じだ。
 

中盤話（第5話）「要素モリモリだがスッとまとまっていく展開に拍手」

今話では、復讐のきっかけとなった事件の主犯格をはめるべく、一ノ瀬がパイロットになりすますエピソード…と思いきや、黒幕やその息子、そしてその娘との恋模様など、中盤らしく数多くの要素がてんこ盛り。

ちょっとわさわさしちゃうのでは…という杞憂も何のその。大胆かつ繊細にまとめ上げられた要素の数々は痛快で、クオリティーの高さに目を見張った。散漫さはかけらもなく、怒濤の連続で大いに楽しめた。

ここにきて、やや蚊帳の外感が否めなかった安田顕が演じる晃が、上手い具合にフェードイン。一ノ瀬との関係性の行き着く先がどうなるのか。草なぎ剛の2人の人物を演じ分ける姿も素晴らしい。

最終回「思いもよらぬ仕掛けにびっくり！後味の良さが心地いい」

あの手この手を尽くしてきた今作のクライマックスは、タイトルにふさわしく、想像していたとしても、それをあっさりと上回る内容で、驚きを与えてくる。まさか、あの人が一ノ瀬浩一に協力し、そんな展開で復讐劇を遂げるとは。気持ちいいぐらいにだまされた。

どんな結末なのかは確認してもらうとして、復讐を果たした後の一ノ瀬の描き方も心憎い。特に「嘘のない奴なんていない」から始める彼のセリフは絶品。この先どう生きていくのかという決意表明にも聞こえるし、観ている人々すべてにも当てはまるようにも聞こえる。

復讐を軸に置いたサスペンスものではあるが、裏側では人間ドラマをしっかり描く。ただそこを押しつけるのではなく、純粋にエンタメとしてさらっと見せてくるあたり、素敵だ。

『嘘の戦争』の3項目★付け評価

★は最大5点

・草なぎ剛：★5／彼の演技なくして今作は成立しない。接する相手で内面の違いを感じさせる演技は素晴らしい。
・嘘：★4.5／本作においていろいろな意味が込められている。セリフや仕掛けなど、嘘を存分に味わおう。
・演出：4／一ノ瀬浩一がどう思い、どう復讐していくか。演技と映像で感じさせる演出はお見事だ。

『嘘の戦争』について

【製作年】2017年
【出演者】草なぎ剛、藤木直人、水原希子、菊池風磨、マギー、姜暢雄、野村麻純 ほか
【あらすじ・みどころ】少年時代に何者かに家族を殺された詐欺師の浩一。記憶に残る真犯人と再会したことで、30年越しの復讐を遂げようとするさまを描く。草彅剛主演による関西テレビ制作のドラマ“復讐シリーズ”第2弾。