【T-SITEインタビュー】テンダラー、芸人が海外で“勝ち組”になるには「ゲスブーム」に乗っかること?

「THE 舶来寄席2016」。吉本新喜劇のコテコテの笑いと、世界で活躍する一流パフォーマーによるスゴ技ステージの2部構成で楽しめる、世代・国籍を超えたエンターテインメントショーだ。

国際派のテンダラー

国際派のテンダラー

6月9日からの東京公演を目前に控えているなか、MCを務めるテンダラーに話を伺った。漫才にマイケル・ジャクソンのダンスを取り入れたり、アメリカでの英語漫才に挑戦するなど、国際色豊かな活動が目立つ2人が語る舶来寄席の魅力、そして海外で「ウケる」ための彼らの努力とは…?

「ゲスブーム」に乗っかって、外国人の彼女を作りたい!

ビートたけしさんが選ぶ「エンターテインメント賞」の中の日本芸能賞を2度も受賞されるなど、活躍がめざましいですね。最近の活動はいかがでしょうか?

浜本広晃(以下、浜本):去年はシンガポールで行われた「アニメ・フェスティバル・アジア2015」に呼んでいただいて、英語漫才をやりました。2014年にアメリカのカリフォルニアでもやったんですが、そのときは単独ライブ。僕ら目当てにチケットを買って観に来てくれるお客さんとは、またちょっと異なる雰囲気の中だったので緊張しましたね。

白川悟実(以下、白川):シンガポールはアニメを中心に日本のクールカルチャーを紹介するってテーマの大規模なイベントだったんです。広い会場の一角にステージがあって、そこで。日本文化のひとつとして漫才をやってくれ、ってオファーでした。

ウケましたか?

ゲスブームに乗っかりたい!(浜本)

ゲスブームに乗っかりたい!(浜本)

浜本:ウケましたね。安心しました。改めて、これからも世界各国でで漫才をしていきたいと思いました。ただ、英語力が課題ですね……。

白川:毎日、喋るような環境じゃないと。

浜本:外国人の恋人を作るところから始めようかと。でも、一応、奥さんがいる身なので、なんとか説得して認めてもらいたいところです。今のゲスブームに乗っかって(笑)。

白川:アホか!

浜本:まあ、それは難しくても、アメリカで通用するようなネタをもっと作って、キャンピングカーに乗って50州を漫才ライブで回っていけたらオモロイやろなあ。

白川:英語も通用しないくらいのド田舎までね。日本のこともあんま知らん人の前でやったりね。

飛び込みでロビン・ウィリアムズも出演したコメディクラブへ

ロマンありますね!

浜本:2014年のアメリカ単独ライブではライブハウスを借りたんですけど、本番前にショーパブやコメディクラブみたいなところに出たんですよ。「オープンマイク」って飛び込みで出れるやつに。

白川:稽古や様子見も兼ねて、コメディアン志望の若い人に混じって。

浜本:ジム・キャリーロビン・ウィリアムズが出てたところにも行きました。そのお店のオーナーから説明されたルールが「ネタ時間は3分。3分経つと赤いランプが回るから、そこでステージを降りるんだ」って。

白川:「M-1」の予選と一緒やん(笑)。

浜本:お金を出してエントリーするところも同じで(笑)。「出番は何番目ですか?」って聞いたら、「ユーたちがトップだ!」って。ようトップにさしたな!

白川:現地のお馴染みの人が出てから、「続いては日本からやって来た二人組だ」って感じならわかりますけどね。

“客イジリ”がないとスルーされるアメリカ

―日本語が通じない海外で英語漫才をする難しさはどんなところですか?

浜本:そもそも漫才っていう芸のスタイルがないので、まずはどう見てもらったらいいのかを説明するところから。実はショーパブの「オープンマイク」に出る前に、最初は有名なベニスビーチでセンターマイクを立てて路上で漫才したんですよ。腕試しというか、雰囲気を知るために。

ロスの漫才も収録されている『BEST MANZAI HITS !?~THIS IS TEN DOLLAR~』 (C)2015 吉本興業

ロスの漫才も収録されている『BEST MANZAI HITS !?~THIS IS TEN DOLLAR~』 (C)2015 吉本興業

白川:大道芸人がパフォーマンスしてる間に混じって。

浜本:そうしたら、すぐにお客さんが集まってくれたんですよ。

白川:珍しく見えたんでしょうね。スーツ着た東洋人が二人して喋り出したんで。

浜本:でも、漫才に入ったら、お客さんは離れていっちゃって。

「なんでかな?」って、まわりの大道芸人を観察したらお客さんを巻き込んでる。いわゆる、客いじり。僕らはいきなりネタに入っちゃったので、受け止め方がわからなかったんでしょうね。

医者と患者だったら、いつもだったらすぐ設定を説明して入るところを変えて。お客さんに向かって英語で「なんだい、君たちはカップルなの? 僕ら日本から来たんだよ。ところで、英語ちゃんと伝わってる?」って聞いたら、「Good,good!」って返答してくれて、「実はね、日本で勉強してきたんですよ。こんな感じ。僕は先生、彼は患者。レッツスタート!」って。

白川:日本だと漫才の流れが浸透してるから、わかってもらえますけどね。

「マンザイ」のシステムでもウケは取れる

―海外で反応が特にいいネタってありますか?

ニュアンスの違いに(白川)

ニュアンスの違いに…(白川)

浜本:やっぱり動きのあるネタのほうがウケます。言葉がおぼつかないぶん、何とか動きでカバーしようとする必死さを面白がってもらえたのかもしれませんね。

最終的には言霊じゃないですけど、「伝われ!」って思いを込めるしかない、っていうか。

あと、自己紹介をするときに、僕がマイケル・ジャクソンの振り付けでちょっと踊っているところを、相方が「Oh! ジャネット・ジャクソン」ってボケて、僕が「妹かい!」ってツッコむくだりも、お客さんに「ジャーメイン顔負けだよ!」って感心されちゃって(笑)。ジャーメインってのはマイケルのお兄さんなんですけどね。

白川:マイケルとジャネットしか知らんがな!

浜本:細かい情報も入ってるので、向こうの方は。

―言葉で説明する要素が高いツッコミも難しくないですか?

白川:英語だと短いツッコミがないんですよ。「やかましいわ!」とか「黙っとけ!」を英語にすると文章になってまうから、対応する言葉を探すのは大変でした。

―「シャラップ」だと伝わりませんか?

白川:「シャラップ」はキツすぎるみたいで。僕らが思うのとニュアンスが違うみたいで。

浜本:「どうもよろしくお願いしまーす」って最初の挨拶もないから、「プリーズ」って一言で伝わるのは勉強になりました。漫才のシステムでちゃんと受けたっていうのが嬉しかったですね。序盤で出したボケを後半でまた繰り返すってテクニックなんかも。

白川:「さっきのボケやないかい」って、ツッコミです。

浜本:他にもしつこいボケってあるじゃないですか。それを日本語だと「何回すんねん」ってところを英語だと「Enough!」って、ニュアンス的には「じゅうぶんだ!」ってツッコむと受けましたね。「カブセ」とか「テンドン」も世界に通じるんだって発見でした。

―テンダラーさんの他にも海外でネタやパフォーマンスをなさってる方はいますよね?

浜本:渡辺直美と一緒になったときに情報交換しましたね。僕らは漫才、直美はダンスとかモノマネなんで内容がちゃうけど、伝え方も受け止められ方も違うんで「お互い難しいねー」って。

芸を盗もうと思ったけど…

―そんなお二人もMCとして出演する『舶来寄席2016』には、どういう経緯で参加することになったんですか?

浜本:今回は第4回なんですけど、1、2回目は日替わりMCとして参加してて。それで3回目のときに、MCを決まった人に固定したいということで、よしもとの劇場の支配人からお願いされて。出番終わりで楽屋で待ち伏せされて断りきれず……。

白川:悪い知らせみたいに言うな(笑)。お世話になってる方なんで、喜んでお引き受けさせたいただきました。

―普段の劇場や営業イベントとは異なって、ゲストの海外のパフォーマーと混ざるイベントです。

浜本:国際色豊かなイベントに携われるのは嬉しいですね。「芸を盗む」じゃないですけど、僕らの漫才に活かせるものはないかと思ってみたものの、技がスゴすぎてムリそうですね(笑)。

白川:一流の方々なんで、なかなかね。

浜本:でも、出演陣の中でコイツには負けてないなってダンサーはいましたけどね。過去にですけど(笑)。

―(笑)。MCとしてどんなライブにしたいですか?

浜本:お客さんを飽きさせないように気をつけたいですね。結構、大掛かりなセットを組んでやるパフォーマーもいるので、舞台の転換の時間がちょっと長めなんです。

白川:お客さんに楽しんでもらうのはもちろん、パフォーマーの方々にもやりやすい雰囲気を作るのが僕らの役割ですね。

浜本:楽しみなのはパフォーマーと英語でコミュニケーションできること。アメリカで漫才ライブやるときに英語教室に通って、2ヵ月勉強したんですよ。アメリカでは何とか伝じたんですけど、ゲストのパフォーマーはヨーロッパの方が多いので通じるかどうか不安です。アメリカとヨーロッパの英語はまたちょっとちゃうみたいですね。

白川:以前の「舶来寄席」のときも話しかけたんですけど、会話が続かないですね。1往復したら、「あー……うん」って、間が持たなくなっちゃう。次に返せる言葉が出えへん。

軟体芸のエイレーンちゃんと「仲良くなりたい」(浜本)

―色々な言語の挨拶を覚えたりとか?

白川:してないですねえ……。英語でつまづいてるくらいなんで(苦笑)。

浜本:国籍関係なく、「ハロー!」っていうのが限界です。パフォーマーのみんなも自分の出番の準備で精一杯ですし。ただ唯一、軟体芸のプリンセス・エイレーンって子は、むちゃくちゃチャーミングです。

白川:アルゼンチン出身で、住んでるのはアメリカ。目を合わせたらニコって微笑み返してくれる。

浜本:一度、ご飯行きましたもん。スタッフのみんなも交えてね。最初は何とかなれへんかなって思ったけど、この子、オカンと一緒に来日してて。ご飯にまでオカン連れてきたから、困りましたけどね。

白川:そりゃ、そうやろ。

浜本:今回は大阪公演から東京公演と1ヵ月続くんで、今回はもうちょっと仲良くなろうと思って、エイレーンちゃんと。

白川:ホンマに口説こうとしてるやん!

―問題はお母さんですね(笑)。ビーチパーティ・マジックの方は初めて?

浜本:初めてですね。夏をテーマにしたマジック。ドイツ出身のヤコブ君っていうんですけど、まだ大学生なんですよ。将来は小学校の先生になるか、このままマジックを続けるか、まだ決めてないみたいで。

白川:彼が美女のアシスタントをふたり連れてきてるんですよ。どっちかを浜本が狙ってるんで、もう片方を僕が狙いたいと思います(笑)。

浜本:コメディー・パントマイムのメン イン コートは、絶対年齢を教えてくれないです。

白川:不思議ちゃんの男性コンビです。

浜本:「How old are you?」って聞いても、「Six」って。(呆れて)「ああ、6歳ね。なるほど、OK、OK。面白いね。ところで本当はいくつなんだ?」「Seven」。もう一回聞いたら、「Eight」って言うんやろうなあ、って聞いてみたら、思った通りで。

白川:舞台上でも喋らないっていうパフォーマンスなので、キャラを守りたいんやろな。

―サンドアートの方も出演されます。

浜本:砂だけでいろんなものを描いてしまう。訪れた国それぞれの有名なストーリーを砂絵にするんですよ。今回は竹取物語を新しく作って来た、って言うてはりました。

白川:公演を繰り返す中で、砂絵の構成がちょっとずつ変えてるのはスゴいですよ!

英語の勉強は『モンスターズ・インク』

―海外で漫才をするに当たって、参考にしてる映画や音楽はありますか?

白川が参考にした『モンスターズ・インク』。浜本はマイケル一筋 (C) 2013 Disney/Pixar

白川が参考にした『モンスターズ・インク』。浜本はマイケル一筋 (C) 2013 Disney/Pixar

白川:モンスターズ・インク』を見て英語を勉強しました。アニメは単語が簡単だから覚えやすい。でも、字幕にして意味を調べつつ、発音も練習しながら見るので、2時間経っても15分しか進んでませんでしたね。

浜本:僕は大好きなマイケルに尽きますね。『ライヴ・イン・ブカレスト』の衝撃が未だに続いてます。

マイケルが生前に公式に発売した唯一のライブ映像です。『THIS IS IT』ももちろんいいですし、『スリラー』に至ってはあのPVを見たことない人なんていないじゃないですか?撮影場所は今も残っていて、アメリカ公演のときに現地まで行って、わざわざマイケルっぽい格好して写真まで撮ったほど。

白川:僕は思い入れないから、ただのレンガの壁にしか見えませんでしたけどね(笑)。

(文:明石ハルコ)

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