【インタビュー】若手落語家 柳亭小痴楽×桂三語 「笑いのスタンス」から「エッチなDVDを借りるシーン」までしゃべり尽くす!

ドラマや映画に、取り上げられることが多々ある落語の世界。そういった作品や、最近メンバー交代を行った『笑点』(日本テレビ系)を見てもわかるとおり、落語家は“若手”といわれる人も40、50代は当たりまえだ。

そんななか、「真の若手落語家」として、業界内でも評判の高い柳亭小痴楽と桂三語の2人がタッグを組み、「さる・ごりら~落語会~」を7月・8月に東京と大阪でそれぞれ公演を行う。

小痴楽は、父に柳亭痴楽(5代目)をもつ2世。一方、大阪・上方落語の三語は、桂文枝を師匠にもつ。東西の2人に話を聞いた。

寄席でなくても「ネタは当日決める」

 桂三語と柳亭小痴楽

桂三語と柳亭小痴楽

─今回のコラボのきっかけは何ですか?

桂三語:お兄さん(小痴楽)をテレビで拝見したときに「すごい異彩を放っている方だな」と思ったのが最初でした。うちの師匠(桂文枝)からは「東京はやっぱりどんどん(若くて才能のある人が)出てくるな。大阪からも出ろや」と耳が痛いほど言われてましたから、その中でお兄さんを見たので衝撃だった、というのもありました。

ある日、マネジャーから「三語さんに合いそうな人をみつけましたよ」と言われて「誰ですか」と聞いたらお兄さん(柳亭小痴楽)だったんです。

ただ、歳は僕のほうが上なんですけど芸歴では4年くらい先輩だったというのもあって、その方とやるというのはおこがましい部分もあったので「先方の意向を聞いてください」と言いました。そしたら「いいですよ」って言ってくれて。

柳亭小痴楽:「うん!やる!」って言ってね(笑)。正直、僕はお会いしたことなかったので…。ただ、若手の東西交流ってなかなかないので大事にしていきたいなと思ってます。声をかけてもらったことは本当に光栄なことだと思っています。

─もとから上方の落語家さんとのコラボはやりたいと思っていましたか?

柳亭小痴楽:別の上方の人たちと、東西3人ずつの「東西交流会」で年に1回ずつお互い行き来しているのですが、もっと増やしていきたい、というのもあったんです。

─ネタは当日決まるものなんですか?

桂三語:だいたいの目星はつけていきますけど、なんだかんだで当日決めるっていうことが多いですよね。この業界は。

柳亭小痴楽:当日、これがやりたいなっていうのがあったら、どっちかが絶対に譲るので。回によってはネタ出しをしているのもありますが、僕はネタ出しが好きじゃない。高座によってはチラシの関係上、3~4ヵ月前に出さなきゃいけないけど、当日になったらやる気なくなっちゃってますもん。

桂三語:それ、めっちゃ分かります。最近、これ覚えたからこれやりたいってなっちゃうんですよね。

柳亭小痴楽:その日のベストってなると、ネタ出しはしないほうが。少し前に自分の中で流行っていても、忘れてる可能性もあるもんね(笑)。

桂三語:そういうときは「そんなのやってましたっけ?」みたいな。

柳亭小痴楽:「それ俺じゃないよ」って、何度かそれでバッくれたこともあります(笑)。

桂三語:(小痴楽は)イメージ通りでしたね。いい意味でツンツンしているというか、ヤンチャ感満載で。ただそれを見ても、「なんだよテメエ」とはならないんですよ。「いいよいいよ」っていう感じになるんですよね。だいぶキャラで得されてるだろうなって思います。

柳亭小痴楽:まあ、仲間うちからお客さんまで、高座でも甘えきってます。

桂三語:それをまた平気で言うところとかも、このお兄さんのいいところです。

「来てほしいのは女性よりも…」(小痴楽)

─ところで、お2人が初めて高座(舞台)に上ったときから今まで、客層の変化はありましたか?

桂三語:僕は自分がやるときは、極力若い人を呼ぼうと努力します。僕がやっている落語は一番面白いと思ってやってますから、この時代にこんな面白いことがあるんですよっていうのをアピールしたいっていう気持ちがありますから。若い人にも知ってもらいたいので。でも、結果、若干客層は上がってしまいますけど。

─もう少し若いお客さんを増やしたいですか?

桂三語:そうですね。東京ではブームって言われてますし。「大阪にも来たらいいな」って思ってるお客さんもいっぱいいらっしゃいますし。「お客さんの声」は一番の答えじゃないですか。それに噛み付きたいなと。思いっきりスネかじろうかな、と…。

柳亭小痴楽:僕の場合、年齢が若いので普通に落語会やりますっていうと、若い人が来てくれることが多いんですけど、年配の聞きなれたお客さんが来てくれると嬉しいんですよ。「あいつ違うよ」って言われてないってことは「これでいいんだ」って思えますからね。

 柳亭小痴楽

若い女性よりも聞きなれた年配が来てくれるのも醍醐味、と語る柳亭小痴楽(画像は「さる・ごりら落語会」より)

1~2年くらい前は、女のお客さんが凄かったんですよ。30人でいっぱいの場所で全員女性だったこともあったんです。でも、僕はそういう雰囲気があんまり好きじゃないので…。でも仲間内といろんなことをやり始めてから、だんだんと男性のお客さんが戻ってきてくれるようになったのが嬉しいです。

今嬉しいのは、若い男性が待ってたりするんですよ。寄席が終わったときに「小痴楽さん、サインください」とか「写真いいですか」とか。この間すごい嬉しかったのが、同い年の男性が「小痴楽さんですよね? NHKで見てファンになったんです。サイン貰っていいですか」って言われたんですよね。

男性ってあんまり行動力ないから。女性はもう行動力が凄いから。「え、流行ってるの? じゃあ行こうかな」って1人でも行くので。男性の場合は「流行ってるらしいよ。行かない? 行かない? じゃあ予定合わせようか」って、ぐじゅぐじゅするのがね。

桂三語:男性はだいたい“集おう”としますもんね。

柳亭小痴楽:だから男性が来てくれると嬉しいですね。女性が来てくれるのも嬉しいんですけど、やっぱり同性だから。同性に好かれるってことは一番嬉しいことだから。

笑いの「スタンス」が変わった

─若いお客さんに聞かせる工夫などはありますか?

柳亭小痴楽:僕らが生まれた1980年代から落語を聞いているお客さんは、落語家のくだらないボケでお客さんが心の中でツッコむ、という笑い方だった。それが、最近の若いお客さんはボケとツッコミの1セットでやっと笑うって感じで、笑いのスタンスが変わっていると思います。

笑いのスタンスを変えないと、きっと落語から離れていくんだと思うんですよ。「難しい」とか、「わかんない」「古い」っていう形容詞の使い方をして。

その日のお客さんに合わせて、古臭い感じでやるときもあるし、若いお客さんが多いときは、(落語の型を)崩してでも、その場にいるお客さんを笑わそうと思いますし。7~8割は笑っているっていう状況をつくろうと色々やってやってますね。

あとは、ネタの中でも、サゲ(話のオチ)の部分は、僕も分からないようなは捨てちゃうし、伝わらないと思ったら変えちゃう。

僕、結構頭悪いんで、「僕でも分かるってことは、分かるでしょ?」って(笑)。それで分かんなかったら「もう、悪いけど来ないほうがいいよ」っていうくらいの感覚でやってます。

漫才よりも距離が近い

 桂三語

桂三語は毎回の高座で投げる「球」の違いを楽しむ(画像は「さる・ごりら落語会」より)

桂三語:僕は、「今から話すのは、現代に置き換えるとこういうことですよ」っていうのをはじめに話すようにしてますね。そこから自然と話に入るというか、若い人が多いときは結構そういう風にしてますね。あとは、一番初めにわかりやすい話を入れたりとか。入口を入りやすくして、その流れで落語も聞いてください、みたいな。難しいですけどね。

やってる自分も、「もっと頑張らなきゃいけないな」っていう気持ちにもなるし、それでお客さんがついてきたときは嬉しいですし、「これでいけるんだ」って思います。どんな球を投げるかも毎日違いますから。それで四苦八苦する自分も楽しいですし、反応が返ってくるときと返ってこないときの差を考えるのも楽しいんです。「前はこれでウケたのに今回はなんでダメなんだろう」とかあるじゃないですか。

柳亭小痴楽:俺はそういうとき怒っちゃう。「笑えよ! おもしろいんだから!」って(笑)。

─漫才よりもお客さんとの距離が近いのかもしれませんね。

柳亭小痴楽:近いと思いますね。漫才だと相手に迷惑かかるとか、色々考えなきゃいけないと思うんですけど、落語は全部1人ですから。(会場で)携帯が鳴ったら、それを拾うのも自分だし。僕にとってはそれも調味料だから、噺の中でいつ使おうかなって、そこからはずっと考えてますよ。

桂三語:むしろ鳴れと思ってますよ。鳴らしましょうか?(笑)

一同:(笑)

桂三語:生ものですから、そういうイレギュラーも楽しみの一つではありますよね。

小説好きだから生まれた「小痴楽システム」

─話は変わりますが、小痴楽さんは最近、司馬遼太郎の『関ヶ原』を読まれてるそうですね?

柳亭小痴楽:今、読んでますよ。超おもしろい。

桂三語:僕も司馬遼太郎が大好きで、学生の頃に電車でよく読んでました。

柳亭小痴楽:僕は初めてなんですよ。時代ものはちょこちょこ読んでて、みんながすごい勧めるから。

桂三語:国盗り物語』とか面白いですよ。

柳亭小痴楽:それ、みんな言うわ。あとは、安部龍太郎さんの作品なんかも。本は小さい頃から好きなんです。

─どれくらい読まれるんですか?

柳亭小痴楽:つい最近までは、月に多くて5冊くらいかな。移動中しか読まないって決めてるんで。夜とかに読んじゃうと気になって眠れなくなっちゃうんですよ。

─では、これからも司馬遼太郎の作品を?

柳亭小痴楽:いや、時代ものは間に挟んで読むくらいなんですよ。最近、すごくハマッたのは伊坂幸太郎さんの作品です。それまでは、重松清さんとかも大好きでした。新作が出たら絶対に買ってます。

誕生日になるとお客さんがタバコか図書カードをプレゼントしてくれるんです。色々貰った結果、荷物になるし面倒くさかったからやめてくれって言ったんですよね。タバコか図書カードしか受け付けないです。

桂三語:普通だったら表向きは「ありがとうございます」って頭さげますよね。それをお客さんに言うところがすごい。

柳亭小痴楽:せっかく貰うなら自分が欲しいものがいいから。現金はいやらしいから嫌だっていって、本を持ってきた人には「嫌だよ、そんなの自分で選ぶよ、いらないいらない」って言ったら、そんなやり取りを聞いていたのか、他のお客さんも「好きなの読んでください」って図書カードをくれたんです。

桂三語:それでも持ってくるお客さんが凄いですよね。「小痴楽システム」をつくったのは本当にすごいですよ。

シェイクスピアと落語は同じ?

─三語さんも最近、『マクベス』を観に行かれたそうで。

桂三語:友達と行きましたよ。「綺麗は汚い、汚いは綺麗」。なんのこっちゃねん、ってなりましたけど。

─最近は舞台や映画も行かれるんですか?

桂三語:映画よりも本を読みますけどね。本のほうが色々自分で想像できるじゃないですか。

最近、読んだ本で西加奈子さんの『通天閣』っていう本がすごい面白かったです。あの方、大阪の人なんですよね。だから笑いのセンス掘り込みまくりですよね。面白いんで是非。

─おすすめの映画はありますか?

桂三語:それこそ『マクベス』の映画は観たくなりました。舞台を見たから次は映画を見ようとか、結構派生するほうなんですよ。もともと、そんなにシェイクスピアにもそんなに興味なかったんですけど、落語と一緒で、入口はいると世界が広がっていくんだなっていうのはありますね。

柳亭小痴楽:僕は結構映画を見るんですよ。『男はつらいよ』『仁義なき戦い』は幼稚園のときから見てましたね。親父に「これでだいたい男を学べるから」って言われて。

桂三語:『男はつらいよ』は、本当に落語ですもんね。

柳亭小痴楽:その2つは必須で、あとは本当に色々な映画見るんですよね。

「野村萬斎」の声がアメリカのホームドラマのパパに…

─物心ついた頃に見た印象深い映画はありますか?

桂三語:僕は『ホーム・アローン』見たときは衝撃でしたね。

柳亭小痴楽:…あ、『マスク』。ジム・キャリーさんがすごく面白かったですね。ジム・キャリー出演の作品は結構見てます。

桂三語:僕は「自分がもしこうなったらどうなるんだろう」って考えながら見るのが好きなんですよ。『ホーム・アローン』がまさにそうで、自分がもしこの歳でこうなったら…って考えましたね。

柳亭小痴楽:そういう風に映画見たことないなあ。僕は自分を忘れるために映画を見るから…。

 『ターミネーター』 (C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

『ターミネーター』 (C)2014 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

桂三語:あとは『ターミネーター』のジョン。僕がこうなったらどうなるだろうとか(笑)。この顔で関西弁しゃべったらおもしろいな、とかオカンめっちゃ怖いなとか。

『マクベス』見たときも、 野村萬斎さんの声ってめっちゃいいじゃないですか。

聞いてたら、だんだんアメリカのホームドラマに出てくるお父さんの声に途中で聞こえてきたんですよ。それに一回入るとツボに入ってきて、おもしろくてそればっかり考えちゃって。「あかんあかん」って言い聞かせながら見てました。絶対、どっかのタイミングで、ポケットからアップルパイ出てくるだろうとか。絶対出てこないんですよ。でも…そういうのありません?

柳亭小痴楽:ない(笑)。

桂三語:延々とハマっちゃうんですよね。

柳亭小痴楽:それで言うと、ジブリの『借りぐらしのアリエッティ』。母ちゃんと見に行ったんですけど、映画の最後の最後でみんな泣いてるところで、母ちゃんが爆笑しちゃって。

何の思いいれもなかったから、洗濯ばさみを渡すシーンで「なんで洗濯ばさみなの?」って母ちゃんが笑っちゃって、そしたら劇場のお客さんみんなに見られて「笑うところじゃなかったぽいよ」って。私帰ったほうがよかったんじゃないかって。

桂三語:僕の『マクベス』も、そういう感じです(笑)。

 『紅の豚』 (C)1992 二馬力・GNN

『紅の豚』。出演者をよく見ると…? (C)1992 二馬力・GNN

柳亭小痴楽:僕は『借りぐらしの~』は、ゴキブリを人間に置き換えた話だと思ってるので、あれは面白いですよね。あれはかなりのコメディ。

うーん、やっぱりジブリが一番だな。子供の頃から何度も見直しちゃうのは。『紅の豚』に『平成狸合戦ぽんぽこ』…

桂三語:うちの師匠は『紅の豚』の“ピッコロのおやじ”の声やってますよ。

柳亭小痴楽:え? あれ、文枝師匠なの??

桂三語:そうですよ。エンドロールに出てきますよ、「桂三枝」って。

柳亭小痴楽:それは知らなかった! もう一回見よう。

桂三語:『紅の豚』がテレビで放送されるときは、師匠が「今度の金曜日、『紅の豚』やるで」って弟子に宣伝してきますからね。

─声優やドラマなど、落語以外にも出てみたいと思いますか?

桂三語:もちろんやってみたいですけどね。メディアに出ると顔も名前も知られますし。変な話、落語会するにしても、チケットが売りやすいじゃないですか。

チケットのことを考えずに芸だけに集中できるのが理想ですね。

柳亭小痴楽:あとは、やっぱりネタになりますよ。「この間こんなことやってきた」とか。

桂三語:そうそう、うちの文枝師匠なんか『真田丸』の話は絶対しますし。やっぱりお客さんもそういうの聞きたいですもんね。

柳亭小痴楽:マクラでもそうですし、噺の中でも生きるかもしれないし。やっぱり他の経験もいっぱいしたいです。

(文:中西啓)

<話を終えて…>

桂三語:僕、TSUTATAのTポイントが結構貯まってます。

柳亭小痴楽:へえ。僕は延滞しすぎて…。

桂三語:ちなみにエッチなDVDを借りるときは、絶対に女性の店員さんのところに並びます。堂々とレジに持っていって「僕、こういう感じが好きですよ」っていうのをアピールしたい(笑)。

柳亭小痴楽:ドSですね。っんとに、馬鹿だなあ(笑)。…僕、こんな人と会をやるのか(笑)。俺は「AV買う派」だから。女優に失礼だからね。

桂三語:それ、延滞しちゃうから、買うしかなくなっちゃったんでしょ。

柳亭小痴楽:そうそうそう(笑)。

さる・ごりら~落語会~

さる・ごりら~落語会~

さる・ごりら~落語会~

ご来場の方には 「さる・ごりら」特製ノベルティをプレゼント。「東京」「大阪」会場毎にはそれぞれプレゼントをご用意。

【出演】柳亭小痴楽 桂三語
【料金】前売2,000円 当日2,500円
<東京>神保町花月 7/17(日)16:00開演(15:30開場)Yコード:999070
<大阪>朝日劇場 8/21(日)14:30開演(14:00開場) Yコード:999140

ファミリーマート(Famiポート) 0570-550-100(Yコード必須)

★チケットぴあ(Pコード 597-723)
セブン・イレブン/サークルKサンクス/チケットぴあ店舗

▼チケットに関してのお問い合わせ 《チケットよしもと予約問合せダイヤル》
TEL:0570-550-100(10:00~19:00)

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