【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち:1月は憧れの人ゆかりの腕時計で時を刻む

【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち:1月は憧れの人ゆかりの時計で時を刻む

2003年、代々木八幡商店街にレストラン「LIFE」はオープンした。訪れた人を心地よく包み込むような空間とほっとさせる料理だけでなく、カルチャーやライフスタイルの発信地としても多くのお客さんから愛されている。

そんな「LIFE」の生みの親であるオーナーシェフ・相場正一郎さんは、自他ともに認める“道具好き”。食はさることながら、山登り、サーフィン、インテリア、カメラなど、さまざまなことに造形が深い相場さんは、一体どんな道具たちと寄り添いながら一年を暮らしているのか。その月ごとの欠かせない愛用の道具をひとつずつピックアップして、相場さんと道具たちのストーリーを紡いでいく。

第10回目となる1月は、大人の男のアクセサリーであり、さりげなく個性を演出する時計のお話。相場さんならではのこだわりを伺った。

時計は、イタリアでは日本よりも身近な存在だった

サーフィンや水仕事の多いのでダイバーズを好んでチョイスするそう

サーフィンや水仕事の多いのでダイバーズを好んでチョイスするそう

――相場さんは常に時計を身に付けていますよね。最初に購入したのはいつ頃でしょうか?

イタリアに留学に行くときですね。SEIKOの時計を買って旅立ちました。

――飲食の仕事だと時計は邪魔になってしまうように思えるのですが。

日本だとコックは仕事の時、厨房内では時計を外すイメージがありますが、イタリアではみんなしているんですよ。文化的なものでしょうか、特にオーナーともなるとちゃんとしたものを着けていますね。スイスが近いので、よい時計が日本よりも身近にあるのも理由のひとつかもしれません。

――最近では時計を持たずに携帯電話で済ます人も増えてきましたが、時計のどのようなところに魅力を感じますか?

もともと男というのはカメラや時計が好きなんですよ、女性のアクセサリーに近い感覚ですかね。誰がどんな時計をしているかでその人の個性が見えてきたりして。面白いですよ。

留学時代にオーナーがしていた時計に憧れて

相場さんの時計コレクション
【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち:1月は憧れの人ゆかりの腕時計で時を刻む

――時計から見える個性、気になります。ちなみに相場さんは数本の時計を使い分けされていますが、特にお気に入りのものはありますか?

IWCマーク12でしょうか。80年代のもので、イタリア時代に働いていた店のオーナーが着けていたものと同じモデルなのですが、彼が身に付けている姿が目に焼き付いていて、帰国してから同じものを購入しました。

――それは憧れの人物像に近づきたいという気持ちからでしょうか?

そうかもしれません。僕が時計が好きな理由のひとつに日常的に身につけられるところがあります。「そばにいる」感覚でしょうか。店を辞めることになったスタッフに自分のコレクションの時計を餞別にあげることがあるのですが、それも「いつも見守っているよ」という意味も含んでいたりします。

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――物以上にその気持ちがなにより嬉しい贈り物ですね。時計を選ぶポイントは何でしょうか?

仕事の時に着けるものはSEIKOやIWC、遊びなどリラックスタイムにはロレックスやオメガを身に着けます。ピカピカしたものは苦手で、ちょっと珍しいアンティークのものが好きですね。とくにイタリア時代から使っていたSEIKOデジタルは防水もしっかりしていて水仕事だけでなくサーフィン時にも使える優れもの。数年前に無くしてしまってがっかりしていたのですが、1年前にネットで見つけて再購入しました。

年代物に合ったおしゃれを楽しむ

――見た目だけでなく機能にこだわるのも相場さんならではですね。オフタイムに付けている時計の魅力は何でしょうか?

ロレックスやオメガも物のよさでしょうか、付けたときのフィット感が他の時計と全く違うんです。僕が持っているロレックスは60〜70年前のものですが、正確で丈夫。値段は高くても世界的ユーザー数が多いだけのことはあるな、と。

――ロレックスは若い人はとくに憧れはあってちょっと敷居が高く感じてしまう人も多いと思うのですが。

僕もロレックスを付けることに抵抗がなくなったのは最近ですね。イタリアだとファッションではなくそれぞれの年齢でのおしゃれがはっきりしているんです。大人になって経験値が増すことで身につけるものに変化がでてくる。最近はボーダーがわかりづらくなってきている感もありますが、本当は日本にもそういった文化があると思うんですよ。それにちょっと背伸びして着けているうちに自分が時計に近づいていったりしてね。

――よい時計を身につけることで自然とベストな状態にチューニングされる。それこそ時計の本当の魅力かもしれないですね。

時計はさりげない自己表現のひとつでもあると思うんです。僕も知らない人から見たら「古い時計をしているな」と思われるだけかもしれない、でも自分が楽しければそれが一番。逆にエリートサラリーマンがあえてカジュアルな時計をしても面白いかもしれないし、無数の選択肢があるので、それぞれ自分のスタイルに合う時計を探してほしいですね。

メガネが乗っている木のケースには時計を収納している。CURATOR'S CUBEのジェネラルストアのPOP UP SHOPで購入した1点もので、気に入って2つ購入したそう。見た目はもちろん蓋を閉めるときの音か心地よい

(インタビュー・文:山本加奈子、撮影:MASA(PHOEBE))

「LIFE」オーナーシェフ
相場 正一郎

イタリアのトスカーナ地方で料理修行をした後、2003年に代々木公園にカジュアルイタリアン「LIFE」をオープン。現在、「LIFE son」「LIFE Sea」など全国に5店舗を運営する。店舗では、イベントの開催、オリジナルプロダクトの制作、地元の情報を集積したフリーペーパー『PARK LIFE』の発行など、カルチャーの発信地としても多くのファンを持つ。最近、渋谷の東急本店に抜ける長い一本道「奥渋谷」に話題の店が続々と増えているが、その走りとなったパイオニア的な店が「LIFE」と言える。

著書は『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』(筑摩書房)『LIFEのかんたんイタリアン』(マイナビ)『LIFE OF THE MIND』(ネコ・パブリッシング)など。

公式サイト

■他の月の「【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち」を読む

4月はイタリア時代からの相棒・カメラと旅立つ
5月は思い出のインテリアを囲んで家族と寄り添う
6月の朝はコーヒーと読書ではじめる
7月は手作りボードで、サーフィンと仕事の波に乗る
8月は愛車ディフェンダーでドライブ。山へ海へ
9月はグリーンを飾ってお客さんをもてなす
10月はとっておきの調理道具で料理を作る
11月の休日は男のアウトドアを楽しむ
12月はお気に入りの食器&カトラリーで食卓を彩る
2月はメガネを使い分けて日々のおしゃれを楽しむ
3月は愛用の道具を鞄に詰めて街へ繰り出す

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