『覆面系ノイズ』実写映画化インタビュー。漫画家・福山リョウコ「原作ラストでやりたいことは決めています」

『覆面系ノイズ』

『覆面系ノイズ』

コミック累計200万部突破の人気漫画『覆面系ノイズ』。“音楽×片恋ストーリー”で多くの女性を胸キュンさせてきた本作が、映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の三木康一郎監督で実写映画化されるとあり、ますます注目を集めている。

2017年11月25日(土)の公開を前に、原作者の福山リョウコさんにインタビューを敢行。聞き手は、TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店随一の漫画好き書店員であり、『悩殺ジャンキー』から14年来の福山さんファンでもある諸岡氏。彼女の『覆面系ノイズ』愛の赴くまま、本作の制作秘話、影響を受けた音楽の話などを聞いた。

福山リョウコさんの自画像

脚本は、私も交えて撮影ギリギリまで練り込みました(福山)

諸岡氏(以下、諸岡)実写映画化おめでとうございます。原作が完結してないのに映像化!?とびっくりしましたが、個人的には原作ファンも納得の内容でした! 先生の映画をご覧になった感想をぜひ。

福山リョウコさん(以下、福山):まずは、なんて爽やかに仕上げてくださったんだ!と。2時間でまとめるのは無理なのでは……と思っていたんですけど、実際はすごく自然につながっていて。ほっとしました。あと、すべての演出が好みでした。オープニングも、色合いも!

みなさん実写映像化に対していろんな意見をお持ちだと思うんですが、可能な限りまっさらな気持ちで見て頂けたらなと思いました。

諸岡:福山先生の作品は、登場人物があふれる感情を叫び出してしまう描写に胸が熱くなりますが、そういった描写もしっかり劇中で表現されていましたね。名台詞の独特の言い回しも、演出とあいまってスッと心に入ってきて。漫画に出てくるヘッドフォンなどもそのまま取り入れられていて、「先生の作品を実写で見ているんだ!」と、ひしひしと感じました。

映像化に際して、先生からリクエストされたことはあるんですか?

劇中に出てくるギターやヘッドフォンは福山さんの私物。ヘッドフォンは、ニノが使っているものは、安くて描きやすいもの、ユズのものはちょっと高価、という設定があるのだとか。

劇中に出てくるギターやヘッドフォンは福山さんの私物。ヘッドフォンは、ニノが使っているものは安くて描きやすいもの、ユズのものはちょっと高価、という設定があるのだとか。
(C)2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会

福山:アニメと違ってノータッチな部分は多かったんですが、脚本だけは本当にたくさん意見を聞いてくださって。映画側がやりたいこととこちらの希望をすり合わせて、役者の方の本読み前日、ギリギリまでプロデューサーの方と内容を詰めました。だいぶ変更があったので、役者の方は相当大変だったと思います。

(三木康一郎)監督は、ものすごく『覆面系ノイズ』を理解してくださっていたと思います。何度か撮影現場に伺ったんですけど、役者さんが迷っている時もすぐに的確に指示をされていて、それが私が「こうしてほしいな」と考えていることと同じだったんです。

映画でのユズとモモのやり取りにめちゃくちゃ萌えました(笑)(福山)

連載開始当時、担当編集さんの「福山さんの片想いものが見たい」というひと言から生まれた『覆面系ノイズ』。「片想いで気持ちを隠している」というテーマが、覆面バンドというモチーフにリンクする。

連載開始当時、担当編集さんの「福山さんの片想いものが見たい」というひと言から生まれた『覆面系ノイズ』。「片想いで気持ちを隠している」というテーマが、覆面バンドというモチーフにリンクする。

諸岡:キャスティングも豪華ですよね。ニノ役の中条あやみさんに、ユズ役の志尊淳さん、モモ役の小関裕太さん……人気急上昇中の次世代の顔ぶれです。深桜役の真野恵里菜さんやクロ役の磯村勇斗さん、ハルヨシ役の杉野遙亮さんも。『覆面系ノイズ』といえば、登場人物たちの“全員片思い”が見どころですが、映画でも原作そのままの空気感で素敵でした。

この絶妙なキャラクターたちの関係性は、プロットの段階で決めていたんですか?

福山:描きながら決まっていきましたね。うまくいいバランスになってラッキーでした。こういうの、描いてみないと分からないことが多くて。決めて描いても、描いてみたら意外とだめだったっていうことがわりとあるから。

諸岡:メインの3人、ニノ、ユズ、モモ以外では、ハルヨシ先輩と深桜ちゃんの関係もすごくいいですよね。ハルヨシ先輩は深桜ちゃんがずっと好きだけど、深桜ちゃんはユズに片思いしていて、っていう。先生も描いている時はキュンキュンしているんですか(笑)?

コミックスは、ぜひ表紙を並べて飾ってほしい。巻数を並べた時のデザインの美しさに思わずため息。TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店では、11月上旬から映画公開にあわせてコミックス展開が映画セット仕様になるとか。福山さんによる直筆POPの展示もこちらで!

福山:キュンキュンはしてないですが、わー!って恥ずかしくなりながら描いてます(笑)。

諸岡:ハルヨシ先輩、オネエだけどたまに出る男らしさのギャップがいいんですよね。

福山:担当編集とのネタの打ち合わせの時に、それがオイシイんですよって言ったんですけど、全然わかってくれない(笑)。

諸岡:ギャップで言うと、ユズくんもですよね。見た目ちょっと女の子っぽいけど、すごく男らしい。

福山:一番雄々しいですよね。

映画では、志尊淳がユズを演じる。

映画では、志尊淳がユズを演じる。

諸岡:映画でも、男泣きのシーンにグッと来ました。志尊淳くんはかわいい系の役のイメージがありましたけど、ぜんぜん“ペット”(主演ドラマ『きみはペット』より)じゃなかった(笑)。

福山:映画では、ユズとモモの(映画オリジナルの)やりとりが特に好きなんですよ。

志尊くんと小関くんは以前共演されたこともあってか、すごく自然なんです。観ててめちゃくちゃ萌えました(笑)。二人でずっとしゃべってればいいのに、って。

諸岡:そんな舞台裏があったとは(笑)。

ユズとモモ

ユズとモモ

イノハリは、“中ニ心”を詰め込んだバンドです(福山)

諸岡:音楽も見逃せないポイントですよね。主題歌になっている劇中バンド「in NO hurry to shout;(イノハリ)」の「Close to me」はMAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)の書き下ろしですし、エンディングテーマは同バンドの新曲「Find You」。

この2曲は映画のキーにもなっていますよね。

福山:初号試写の時まだEDタイトルを知らなくて、なのでテロップでそれを見た瞬間「!」となりました。もうタイトルをご存知であろう皆さんは劇中で是非「!」となっていただきたいです。

諸岡:以前、マンウィズの「Feel and Think」が『覆面系ノイズ』のプロモーションビデオのPVで使われていましたが、今回はその繋がりで?

福山:どういった経緯があったのかは知らないのですが、もしかしたらそうなのかな。漫画を読んでくださって、内容に寄り添った歌詞を書いてくださいました。ありがたいお話です。

アニメ版の作詞をしているのは、ほとんど福山さんだとか。今は11月20日(月)発売のドラマCDに収録されるイノハリの新曲の歌詞を執筆中。(写真は覆面系ノイズ 14巻 ドラマCD付き限定版)

アニメ版の作詞をしているのは、ほとんど福山さんだとか。今は11月20日(月)発売のドラマCDに収録されるイノハリの新曲「オセロ」(歌:早見沙織さん)の歌詞を執筆中。(写真は覆面系ノイズ 14巻 ドラマCD付き限定版)

諸岡:イノハリはそもそも、モチーフのバンドがあったのでしょうか?

福山:モチーフはなかったんですけど、連載開始当時(2013年)は覆面バンドが今ほどなかった気がするんですよね。“こんな感じだったらいいな”と“中二心”を詰め込みたくて。

諸岡:私は中2の頃からビジュアル系の方ですが、バンドにハマっていて……中二心、くすぐられました(笑)。先生もバンドがお好きなんですよね?

福山:大好きです。ナンバーガールとかフジファブリックとかがきっかけで。大学のサークルでもちょっとバンドをやっていました。サークルの先輩セレクトで洋楽でしたけどね。

諸岡:先生ご自身もバンド活動を経験されていたんですね。

私が漫画で一番好きなのが、イノハリのワンマンツアーの話なんです。ライブをこなすごとに、バンドメンバーが「今日は良かったぞ!」「だめだ……」とか一喜一憂しながらワチャワチャする感じが、なんか分かる!って。

連載を始められてからも、取材などでいろんなライブやフェスに行かれていますが、改めて好きになったバンドはありますか?

イノハリ

イノハリ

福山:いろんなところで言っているんですけど(笑)、ヒトリエっていうバンドがすっごく好きです。

諸岡:ヒトリエ好き、私の周りでも多いですよ! 今の時代ならではのバンドですよね。

先生は執筆中に聴いている音楽やバンドの話や、ライブの行き方についての話をTwitterでされていますよね。ライブ好きとしては、すごく共感する部分が多くて! 先生のファンやフォロワーさんたちは、ライブリテラシーが上がりそうです。

福山:先日、アニメ『覆面系ノイズ』のライブがあったんですけど、声優さん、アニメ、原作、それぞれの熱いファンが混在する空間でした。アンコールの仕方とか、盛り上がり方とか、それぞれ見たことないような独自のルールもあって、すっごく面白かったです。

諸岡:先生の初ライブハウス参戦はいつごろですか?

バンドの成長からも目が離せない!

バンドの成長からも目が離せない!

福山:大学生の頃ですね。友達が下北沢でライブイベントをいっぱい企画していたので、それに付いて行っていたのがきっかけかもしれない。

諸岡:下北沢だと、MOSAiCとか、GARDENとか?

福山:そうです。あとは屋根裏かな。

諸岡:漫画の作中でも、いろんなライブハウスが登場しますよね。

福山:そうなんです。漫画でライブハウスのツアーの話をやろうとなった時に、実際のライブハウスが出てきたら面白いよね、となったんです。取材と名前使用の許可もいただいて。取材と称して、全国各地の憧れのライブハウスに行きました(笑)。

諸岡:『覆面系ノイズ』をきっかけにライブハウスデビューされる方も多そうですね。

福山:実際、いらっしゃいますね。それこそ、下北沢のライブハウスに足繁く通うようになった方もいるそうで、嬉しくて。

ラストは、ある程度もう決めています(福山)

14巻はどうなる!?

14巻はどうなる!?

諸岡:先生の中では、もう結末は決まっているんですか?

福山:恋愛に関しては、そろそろ方向性を決めなくてはという段階。ほかにもオチとしてやりたいことがいっぱいあって、それは決めています。ひとつはみなさん想像できますよね? 恋愛以外のことで。

諸岡:ええっ!?

福山:希望としては18巻くらい、気力が尽きる前に終わらせたいんですけど……わからない(笑)。あと1年半くらい?

諸岡:意外ともうすぐなんですね……なんだか寂しいですが、ますます目が離せませんね。まずは映画とあわせて、漫画のおさらいをしておきます! 今日はありがとうございました。

福山リョウコさん直筆のPOP。現物はTSUTAYA IKEBUKURO AKビル店に展示予定。

インタビュー時、美麗POPをあっという間に仕上げていく福山さん。

インタビュー時、美麗POPをあっという間に仕上げていく福山さん。

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■公開情報

映画『覆面系ノイズ』

2017年11月25日(土)全国公開

出演:中条あやみ 志尊淳 小関裕太 真野恵里菜 磯村勇斗 杉野遥亮
原作:福山リョウコ「覆面系ノイズ」(白泉社「花とゆめ」連載)
監督:三木康一郎
脚本:横田理恵 三木康一郎
主題歌:in NO hurry to shout;「Close to me」(ソニー・ミュージックレコーズ)
エンディングテーマ:MAN WITH A MISSION「Find You」(ソニー・ミュージックレコーズ) 配給:松竹

<あらすじ>

歌うことが大好きなニノ(中条あやみ)は高2の春に転校先の学校で、幼いころに出会った曲作りをする男の子・ユズ(志尊淳)に再会。ニノを想って曲を書き続けてきたユズは、思わぬ再会に戸惑いながらも気持ちを募らせる。一方ニノは幼いころに離れ離れになった幼馴染・モモ(小関裕太)に今でも思いを寄せていた・・・。いつかモモにこの歌声を届けたい!日々練習を重ねるニノはある日、とあるオーディション会場でモモらしき人物に遭遇!せっかく再会できたのにモモに気持ちを伝えられないニノ。そんな時、辞めてしまったボーカルの代わりにユズの所属するバンドでボーカルを担当することに。それぞれの恋する気持ちが交差する中でニノが気づく本当に大切なひととは!?

公式サイト

(C)2017映画「覆面系ノイズ」製作委員会
(C)福山リョウコ/白泉社

漫画家
福山リョウコ(ふくやま・りょうこ)

和歌山県出身。2000年、「カミナリ」(『ザ花とゆめ』(白泉社))でデビュー。2013年、『花とゆめ』にて「覆面系ノイズ」を連載開始。2017年にテレビアニメ化、実写映画化された。ほか、代表作は『悩殺ジャンキー』『モノクロ少年少女』。

公式サイト Twitter

TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店 書店員
諸岡(もろおか)

書店員歴11年、今年で12年目のTSUTAYAきってのマンガ好き。「コミック・ライトノベルはおまかせ! 当店ではBLにも力を入れてます!」
TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店
東京都豊島区東池袋1-2-9
03-6384-4651

TSUTAYA IKEBUKURO AKビル店 公式サイト

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