『狂い咲きサンダーロード』(80年)、『爆裂都市 BURST CITY』(82年)『シャニダールの花』（13年）などを手がけてきた石井岳龍監督（＝石井聰亙）が送りだすロック映画の最新作は、ケタ外れの独創性を発揮するバンドbloodthirsty butchers（ブラッドサースティ・ブッチャーズ）のリーダー、故・吉村秀樹からの熱烈なラブコールのもと完成させた叛逆の青春物語『ソレダケ / that's it』。

初日を迎えた5月27日、都内にて「吉村秀樹トリビュート『ソレダケ / that's it』」と題された爆音上映会が開催され、染谷将太、水野絵梨奈、渋川清彦、村上淳らキャストと石井岳龍監督が登壇した。

なかなか一言では言い表せないけど、いろんな気持ちがある

「吉村秀樹とも個人的にすごく親しくさせて頂いていた」というMCのヒダカトオルがまず「我々バンドマンも胸が熱くなる想いでいっぱい。死してなお、このような作品を生み出させる吉村秀樹、すごい男だなと感服しています」と吉村への思いをコメント。前日寝付けずに朝4時23分にブッチャーズを聴いたという渋川は「すごく今日に合っていると思った」と『コリないメンメン』の歌詞「寄り道している星くず集めて 目の前瞬間大事に焼き付け 出来そこないこそ楽しむべきだと 果たした約束懲りない面々」を読み上げる一幕も。また、作品をまとめあげた石井監督は「なかなか一言では言い表せないけど、いろんな気持ちがある」と切り出し、「ホッとしたのもあるし、ここから始まるんだというのもある」と心境を吐露。

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そんな監督から「とにかく体力づくりをして！」と言われたという染谷やキャスト陣。それについて監督は「とにかく走ることは伝えていて。真夏の一番暑い時期だったので体力面を心配していた」と明かす。「地上40mくらいの螺旋階段を駆け上るところは、高所恐怖症もあって体力だけでなくメンタル的にも大分体力つきましたね」という水野や、「日常生活で、例えばエスカレーターを使わずに階段の昇り降りを沢山しました」とコメントする渋川に「大事大事！」と合いの手を入れる村上。

「きつかったですね。スタッフも頑張ってくれて、自分としては充実した現場でしたが」と撮影を振り返る監督だが、村上は「現場は微笑ましかった。石井監督はとてもジェントルでした」とコメント。それでも監督自身は「そんな余裕はなかった」という。

音楽映画なんでギターで割ろうかなと

挨拶中には、「新しい、面白い試みをしたいと思います」というヒダカのフリで鏡割りの樽が登場。そしてそれを叩くのは何と2本のギター！「音楽映画なんでギターで割ろうかなと」と説明するヒダカに「安易でしょ？」と村上が乗っかり、笑いを誘う。そして監督の「ロックンロール!!!!」という叫びとともに勢い良く振りかざされるギター。鏡割り後には、染谷は樽の中へギターを放り込み、それを観た客席からは「あぁ～」という声が。

最後は試写を入れると3回観たという染谷が「こんな形（ライブハウス）で上映できることはこの映画にとっても幸せだと思う。本当に映画館で観て欲しい。いろんな人のエネルギーをもらえる作品です」とPRし、イベントを締めくくった。

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映画『ソレダケ / that's it』
5月27日（水）よりシネマート新宿にてロードショー。以降、全国順次公開

出演：染谷将太、水野絵梨奈、渋川清彦、村上淳／綾野剛
監督：石井岳龍
楽曲：bloodthirsty butchers
脚本：いながききよたか
製作：『ソレダケ / that's it』製作委員会
配給：ライブ・ビューイング・ジャパン
2015年／日本／カラー／1:1.85／3ch／110分