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コトブキツカサがおすすめする「TSUTAYAだけで借りられる悲しくても涙だけじゃない」5本
「TSUTAYAだけ!」のラインナップから、コトブキツカサさんが好きな作品を奇をてらわずチョイス!映画心理分析の達人の深層心理が見えてくる!?
コトブキツカサがおすすめする「TSUTAYAだけで借りられる悲しくても涙だけじゃない」5本
オスカー俳優共演のクライムドラマ。出所したての男と彼を暗殺する密命を帯びた親友、二人の旧友の元ギャングの3人が、久々に再会した夜に最後の青春を謳歌する。
末期がんを宣告された30歳、独身のキャリアウーマンが、天使と遭遇。3つだけ願いをかなえてくれるという啓示を受けた彼女は残された人生と向き合っていく。
怠惰な両親と、田舎町での退屈な日々から逃げ出そうと、一人でラスベガスを目指す13歳の少女が体験するひと夏の苦い経験。クロエにとって初の単独主演作。
『キック・アス』がボンクラな落ちこぼれたちを救ってくれた
TSUTAYAだけでレンタルできる作品から好きな映画を選ばせてもらったんですが、決して消去法ではなくて、僕の心に残っている、本気でオススメできる作品です。
個人的な思い入れで順位を付けてみたんですが、第5位の『キック・アス』に関しては映画好きがどれだけ語り尽くしたんだって話ですよね。この段階でこの映画を語ろうなんて、僕にはおいしいところはまったくない(笑)。だけどパッと思い浮かぶ好きな映画って、主人公に共感してるからなんですよ。この作品はみんなが本当に共感したんでしょうね。
極論かもしれないですが、僕はほとんどの男がボンクラだと思っているんです。例えば高校のときに充実した学園生活を送ったヤツなんて5人に一人くらいしかいないですよ。振り返ればあの頃に戻りたいなんて考えるかも知れないけれど、5人に4人は落ちこぼれて悲しい気持ちでいたんです。僕も含めて、そんなヤツらの気持ちを救ったのが『キック・アス』じゃないかと。正義のヒーローなのにただのボンクラで、結局なんの力も持ってない。オープニングからダメなヒーローっぷりが伝わって、ガツンとつかまれますよね。プライベートが充実していない穴を埋めてくれたから、人々の心に刺さったんでしょう。
あとクロエ・グレース・モレッツを知ったことは大きいですね。現実と映画がシンクロするというか、彼女の成長をずっと見届けたいと思うほどかわいらしかったですよね(笑)。

『ミッドナイト・ガイズ』(C)2012 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC, KIMMEL DISTRIBUTION, LLC AND LIONS GATE FILMS INC.All Rights Reserved
男同士の友情にグッときて“しわ”で芝居する名優3人を見ているだけで幸せ
第4位の『ミッドナイト・ガイズ』は最近の映画ですが、世間的にあまり話題にのぼらなかったことが本当に残念。海外評も高くなくて、どんなものかと思って観たら世間の評価が「マジで?」というくらい大好きでした。
アル・パチーノが出所してきたマフィア役で、パチーノってもちろん若い頃からマフィア役はいっぱい演じてきた人で。でも、この映画ではなんかムリをしていない。肩ひじを張らずに、大人のダメなところを見せてくれる。
パッケージのデザインだけ見たらカッコいいクライムアクションみたいですが、基本はコメディなんです。アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキンって老人3人の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』みたいな(笑)。やっぱり年齢を重ねた役者さんは画面に映るだけで映える。特に彼らはもう“しわ”で演技してるんですよね。しわに生きざまが出るなんてよく言いますけど、彼らは演技のためにしわさえも計算してるんじゃないかと疑ってしまうくらいです。
要するに友情物語なんですが、なんで友情ってこんなにグッとくるのかな。プライベートでは友達なんてそんなにいないのに(笑)。彼らが宿命的に課せられたしがらみを、最後に崩すんです。親友を殺せと命じられて、そこで生まれる葛藤があって、でも決して替えが利かない友情を取る。定番だとは思いますけど。もうこの3人を見ているだけで幸せですね。
余命わずかな娘とそんな娘を突き放す母の距離感が最高!
『私だけのハッピー・エンディング』は、僕が男性ってことでちょっと毛色が違う感じがするかもしれませんが、実は女性を扱った映画が昔から大好きなんです。ソフィア・コッポラ監督の作品が好きとか言うと、全然男性とは話が合わないんですけど(笑)。ケイト・ハドソン演じる主人公が若くして余命半年と宣告され、人生観を問い直すというような話。人生の最期をどう締めくくるかみたいな難しい話はともかく、やっぱり誰もが幸せに笑って死にたいくらいの気持ちはどこかにありますよね。この作品はそれを体現してくれたんだと思うんです。
最も印象深かったのは、キャシー・ベイツが演じる主人公のお母さんと娘との距離感が本当にすばらしかったこと。僕自身、この映画を観た頃にちょうど子どもが生まれたんです。で、映画を親の視点からも観るようになった。もし自分の娘が余命わずかだと言われたときに、親としてどういう風に接すればいいんだろう? 普通なら泣き崩れて、抱きしめて、「ごめんね」とか「頑張って生きるのよ」とか言いそうなんだけど、この映画の母親はちょっと突き放してるんです。扱いが絶妙に雑なんです(笑)。もちろん愛してないわけがない。むしろ「愛してるに決まってんだろ、そんなこと言わせんなよ」みたいな空気が出ていて、さすがはオスカー女優ですね。
子どもにしても、ものすごく構われるのもしんどいし、ほっとかれるのも辛い。そこが絶妙で、こういう親にいてほしいって思いましたね。言葉にしちゃうと陳腐かも知れませんけど、この映画を観て、人生には家族とか、支えてくれる人たちがいっぱいいるんだなということを再認識させられましたね。
“ヒック”=田舎者のくすぶっている気持ちに誰もが共感できる
『HICK ルリ13歳の旅』は、クロエ・グレース・モレッツが大きくなりました(笑)。この映画をどう表現するかというと、親離れの物語なんです。劣悪な環境にいた少女が家を出ようと旅に出る。自分が置かれた境遇に安住せず、違った世界を見てみようというお話です。
僕も地方の出身で、家出はしたことないですけど、自分の居場所が見つけられなくて、どうにかして東京に出てやろうって小学生の時からずっと思ってたんですよね。ウチの親は普通の親でしたけど、でも主人公のルリに共感しました。ここにいちゃいけないという思いが僕自身にもずっとあったから。
“ヒック”というのは田舎者という意味で、ルリは都会のラスベガスを目指す。彼女が『ダーティハリー』や『スター・ウォーズ』シリーズのセリフを真似して言ってみたりするのも、縛られた環境にいる自分を投影してるんですよね。
子どもの頃って自分の住んでいる周りだけが世界じゃないですか。でも彼女はTVに外の世界を見いだして旅に出た。僕もTVやラジオが好きで、やっぱり東京にやって来た。クロエが演じたヒロインは田舎でくすぶってる人間の気持ちを具現化した姿ですね。だからこそ、みんなが共感できる作品だと思うんですよ。

『ファンボーイズ』(C)2008 THE WEINSTEIN COMPANY,LLC. ALL RIGHTS RESERVED.Artwork (C)2009 Weinstein Company. All rights reserved.
コメディだからこそ切ない映画にワクワクする気持ちが詰まっている良作
そして、第1位は『ファンボーイズ』。これは思い入れが強くてどうしても1位にしたかった。当初、劇場公開されないかもしれないってことで、僕はサンプルDVDで観ていて本当に大好きだったんで、微力ながら後押ししようとあちこちで書いたり話したりしました。
映画好きの少年たちの一人が末期がんで、『スター・ウォーズ』の新作が観られないかもしれない。だから公開前だけど、ルーカス・フィルムの本拠地に潜入してフィルムを盗もうと旅に出る。旅に出るモチベーションって、好奇心でもなんでもいいんですけど、これはプラスして友達のために何かしたいという気持ちがはっきりしている。観たら絶対にみんなグッとくると思うんだけどなあ(笑)。基本がコメディだからこそ切ないっていうかね。悲しいときに笑ってる絵を見せられるのが一番切ないじゃないですか。でも最後のオチが最高で、笑い飛ばしてくれるのがいい。
モチーフは『スター・ウォーズ』じゃなくてもよくて「これから公開される映画ってどんなんだろう?」っていうワクワク感が、子どもの頃から映画が大好きだった僕らの気持ちが詰まっているんですよ。
こうして見ると、『ミッドナイト〜』も『私だけの〜』も、物語が、登場人物の死に向かいながらもお涙ちょうだい的な泣きをウリにしていないという点で共通してますね。僕はいつも好きな映画を3本挙げてもらってその人の心理分析をするんですけど、このラインナップで僕の心理分析ができそうですね(笑)

コトブキツカサ
1973年静岡県生まれ。年間500本以上の映画を鑑賞。その膨大な映画の知識を活かし、映画パーソナリティとして活躍。日本工学院専門学校にて非常勤講師も務めている。テレビ・ラジオで多数レギュラー出演中。「週刊プレイボーイ」、「DVD&ブルーレイVISION」ほかでの映画コラムを連載中。
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