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映画『残穢 ―住んではいけない部屋―』橋本愛 インタビュー「物語を牽引していくドライバーみたいな役割に意識を持って行った」

シャレにならないぐらい怖い――試写を観た人の間で早くも話題になっている中村義洋監督の久しぶりのホラー映画『残穢』は、アパートの一室で聞こえる不思議な音を発端に、埋もれていた恐怖が次々に浮上する物語。当のアパートに住む大学生・久保さんを演じた橋本愛に、撮影現場の話を聞いてみると――
―今回は、ホラー映画ですが。
中村監督とお仕事したいと思っていて、たまたまそれがホラーだったんです。もともと人間ドラマでファンになったので、今回10年ぶりにホラーを撮られるということで、そのタイミングでご一緒できるならと思いました。
―中村監督の人間ドラマというと?
最初は『アヒルと鴨のコインロッカー』ですね。濱田岳さんが出ている中村監督の一連の作品はユーモラスで、どれも好きです。監督ご自身もそういう方で、人間のちょっとしたおかしさを掬い取ってくださるんです。でも、今回はホラーだから、それを全力で削られたと思います(笑)。現場では、いつも楽しそうに笑っていらっしゃいましたね。
―作品自体は相当コワイですが、現場は明るかったですか?
そうですね。(共演の)竹内結子さんも監督と何作もやっていらっしゃるので、いい意味でヘンな緊張感がなくて、フラットに現場にいられました。この作品は、本当にヘンな人たちがたくさん登場するじゃないですか(笑)。
―普通に明るい場所で見たら、かなりアクの強い人たちですよね(笑)
そうなんですよ(笑)。喋り方もヘンだし、すべてがヘンですよね(笑)。そういう違和感は、ホラー映画だから成立すると思うんです。ドラマだと、違和感を取り除かないといけないから。映画に映っていると怖いですけど、現場はけっこう笑っちゃいましたね。
―“赤ん坊が沸いて出る”シーンも。映画で見ると怖いですが、きっと現場だと……
そうそう、笑っちゃうんですよ。違和感を感じざるを得ないお芝居だし、その違和感に笑ってしまって。沸いて出るって言われた後に「沸いて?」って聞き返す台詞があるんですけど、「わ、わ、沸いて?」ってなっちゃって。監督が、ちょっと面白いからやめてって(笑)。
―編集者役の山下容莉枝さんが「え、そうですか~?」って素っ頓狂な声を出すところもいいです。ぜんぜん怖がっていない感じ(笑)
あの場面も面白かったですね。現場で吹いちゃいました。全員が揃う会議室のシーンなんて、皆さん面白くて、とてもマトモではいられませんでした(笑)。
―そういう個性の際立つ人物の中で、橋本さんが演じられた久保さんという大学生は、ごく普通の人として存在しています。
キャラクターや人間性を象徴するような場面がまずないので、作為的にキャラクターを表現してしまうとジャマになるかなと思ったんですね。だから、物語を牽引していくドライバーみたいな役割に意識を持って行ったというのはあります。どういう人間かより、このシーンでは、どのぐらいの好奇心と恐怖心が共存しているのか。そのバランスを状況に応じて調整していく作業でしたね。人物としては、ミステリー研究会の部長ということもあり、あんなに部屋から怪しい音が聞こえてくるのに、その部屋に住み続けるというのは、度胸があるというか…(笑)。

(c)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会
―音が聞こえてから行動に起こすまで、かなりゆっくりでしたよね(笑)
1週間ぐらい経っていますからね(笑)。そういうことに興味があって、ちょっと麻痺しているというか。人より何倍も関心が強いんでしょうね。それを象徴するシーンはないですけれど、大前提として、それは頭に置いていました。
―徐々に音の正体が判明していきますが、橋本さんにカメラが向くと、ひとつひとつリアクションが違いますね。
久保さんは全部、受信じゃないですか。リアクションが全部同じになるとつまらないので、毎回ちょっと変えたりしていました。監督が飽きないように(笑)クセもあるので、何度か同じのをやると、監督が「それじゃないのをちょうだい」って(笑)。
―ホラー映画としては、『貞子3D』や『アナザー ANOTHER』の時と入り方が違いますか?
違いますね。年齢や経験の差もありますが、決定的に違うのは幽霊ポジションか人間ポジションかの違いですね(笑)。最初の頃は幽霊役か幽霊っぽい役が多かったので。今回は怖がる方でしたね(笑)。
―怖がり方も、すごくリアルですよね。キャーみたいな叫び方をする人がいない。それが、却って怖かったです。
最後の方で驚くシーンも、何かが見えたというより、目の前にある血を見て驚いているんですよね。そこは現実的で、やっていて面白かったです。

(c)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会
―大学生の久保さんが竹内結子さん演じる小説家に、部屋で聞こえる音についての手紙を書いたことから物語がはじまります。竹内さんとは初共演ですよね。
そうです。すごく素敵な方で。監督が竹内さんは「受け」がいいんだよって。相手のお芝居が変わると、竹内さんの受け方が違ってくるので、見ているのが面白いって。実際に対峙していても、こちらの出方が変わると、竹内さんのお芝居が新鮮に鋭敏に変わるんです。
―竹内さんが橋本さんの部屋に行く場面で、橋本さんがあるものを「見ます?」って言うと、竹内さんが「ぜひ!」って言いますよね。あの間が面白かったです。
そうです、あの場面ですね。ずっと沈黙していて「ぜひ!」って。あ、レスポンスが早いって。そういう面白さや、ちょっとした違和感が成り立つ作品だったので、少しだけ意識してみると、竹内さんと座るタイミングが一緒になったり、じゃあ合わせてみようかと思ったり。ホラー映画ならではの違和感を生み出すのが面白かったですね。
―印象的な場面は、ちょっと変わった「間」なんですよね。
そうですね。それと、この作品は、人と人とがほとんど会話しないじゃないですか。音の正体について聞いてまわって、引っかかったワードを復唱するとか(笑)。そういう感じでしたから。物語が展開していく水面下で、人間関係が培われているようにしないといけない。関係性が具体的に描かれている場面はなかったので、そこはけっこう大変でしたね。
―完成した作品をご覧になって、いかがですか?
台本がこう立体化されたんだ!という発見の連続でした。“赤ん坊の顔がぼこぼこ沸いて出る”というのは、こういう映像になったのかとか。黒い影が…という場面は、影どころか――!という展開でしたし。竹内さんがこの映画を観て眠れなくなったと言っていたのですが、私はあまり影響されないんだなと思いました。フィクションには強いんですよね。

(c)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会
―コワイ話、お強いんですね。
ホラー映画を積極的に観たりはしないですが、他の人から聞くコワイ話とかはわりと好きですね。自分に関係ないと、好きです(笑)。フィクションも好きですけど、現実味を帯びた話は、なになに?って聞きます。
―ちなみに、コワイ体験はありますか?
地方のホテルで、コンコンコン…って等間隔で音がして、行ってみると何もないんです。で、お塩を盛ったんですけど、何年か後に別のホテルに行った時に同じ音がして、同じ人かしら…?と思ったことがあります。今、普通に話していますけど、すごく怖かったですね。2回目は爆音をかけて布団をかぶって寝たような気がします。ホント、やめてほしい……(笑)。
―今回の作品は、住んだアパートが引き金になるホラーですが、これから引っ越しをする時に気になったりは?
気にならないと思います。霊感が強いわけじゃないんですけど、空気には敏感なので、淀んでいる部屋はまず選ばないでしょうから。生きている人たちの質でも空気って変わりますしね。それは自動的に避けると思います。
―この作品から2016年がはじまり、20歳を迎えますね。
たしかに年はじめがホラーですね(笑)。あと1か月で成人するので(※取材時は昨年末)、その心構えで他のこと、あまり考えられないんですけど……(笑)クリスマスもお正月のことも。

(c)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会
―10代で何かやり残したことは?
些細なことはいろいろありますけど…昨年中に車の免許をとるって言っていたのに、とり忘れたかなとか。車は特がほしいわけじゃないんですけど(笑)。気持ちよさそうだし、免許はとりたいですね。
原作者の小野不由美が中村義洋監督のファンで、映画化されるなら中村監督がいいと思っていたという本作。巧みなホラー演出はもちろん、ディテールが細やかで妙にリアリティがあるところが怖い。が、撮影時のエピソードを聞くと、また違った見方もできそうだ。ものすごい状況に立ち合っているにも関わらず、小説家の“私”や久保さんをはじめ、登場人物たちがかなりタフ。各キャラクターに注目すると、さらに面白い。
(取材・文:多賀谷浩子)
映画『残穢【ざんえ】 ―住んではいけない部屋―』
2016年1月30日(土)全国ロードショー
原作:小野不由美 『残穢』(新潮文庫刊) 第26回山本周五郎賞受賞
監督:中村義洋 (『予告犯』『白ゆき姫殺人事件』『ゴールデンスランバー』)
脚本:鈴木謙一 ( 『ゴールデンスランバー』「悪霊病棟」)
出演:竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介 ほか
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