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【レビュー】映画『ジョン・ウィック:チャプター2』―前作以上に凝ってます!今後の展開が気になるシリーズ第2弾

(C)2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
キアヌ・リーブス=『マトリックス』のネオというイメージを吹き飛ばすほどのインパクトを映画ファンに与えた『ジョン・ウィック』の公開から3年。スタイリッシュかつ骨太な本格派アクションとダークながら洗練された世界観で人気を博した同作の続編『ジョン・ウィック:チャプター2』が、7月7日よりいよいよ日本公開を迎えた。映画ファンから非常に強い期待が寄せられていることは察するに難くないが、リーブス、そしてチャド・スタエルスキ監督は、前作以上に凝ったアクションと、今後が気になって仕方ないストーリーを融合し、この期待に応える続編を完成させた。
物語は、前作で描かれた結末の数日後から幕を開ける。ロシアン・マフィアから取り戻した愛車のフォード・マスタング、そして新たな愛犬と共に穏やかな生活を送るはずだったジョン・ウィック(リーブス)だが、彼のもとにイタリアン・マフィアのナンバー2であるサンティーノ・ダントニオ(リッカルド・スカマルチョ)が現れる。サンティーノから姉ジアナ(クラウディア・ジェリーニ)を殺害するよう頼まれたジョンは、過去にサンティーノと交わした絶対的な“誓印”に基づき、やむなく暗殺を遂行。しかし、裏切ったサンティーノによって700万ドルの懸賞金をかけられた結果、ジョンは世界中の殺し屋から狙われることになってしまう...。

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前作同様、やはりアクションには目を見張るものがある。腕を伸ばし切らないことで近接格闘への接続性を高める射撃方法センター・アクシス・リロックを軸とする基本的なスタイルは変わらないが、前作と比較すると投げ技の割合が明確に増加している。これによって、近接格闘からの銃撃、あるいはその逆という一連の流れはよりスムーズになり、前作以上に効果的かつ流動的な動きが増えた印象を得た。またその過程においては、長回しの多用や徹底したヘッドショットといった撮影の難易度を高める特性も引き継がれており、スタエルスキ監督とリーブスが込めた、誤魔化しや省略の多い他のアクション映画との差別化意識をひしひしと感じることができる。
ジェイソン・ステイサム、あるいはインドネシアのヤヤン・ルヒアンやイコ・ウワイスといったスピード型のアクション俳優と比較すると、リーブスによる一つ一つの動作は決して速くないのだが、重みがあり、計算に基づくが故に無駄を全く感じさせない動きの数々は、凄腕の殺し屋という設定に確かな説得力を与えている。また、気づきにくいが銃のリロード(再装填)も素晴らしい。リーブス演じるジョンは、劇中で前作以上に多彩な武器を操ることとなるが、リーブスが見せるのはアクション映画にありがちな、見栄え重視の無駄が多い“非現実的なリロード”ではなく、迅速かつ正確な“現実的なリロード”であり、なおかつ一連のリロード動作は、ある種の美しさすら感じられるほど洗練されている。

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戦闘における舞台設定とカメラワークも前作以上に作り込まれている。序盤で登場する、入り組んだ古い洞窟のような空間における戦いでは、スタエルスキ監督はまず観客にジョンが銃を各所に配置する姿を確認させておく。そしてその後、“答え合わせ”的にアクションを展開するのだが、これによってジョンがいかに計算して戦っているか、そしてその計算に基づく戦いがいかに無駄なく構成されているかが強く印象づけられる。また、終盤でサンティーノを追い詰めるジョンが、美術館を舞台に繰り広げるバトルも秀逸だ。鏡張りの展示物を活用した近距離格闘は、ストレートに向かい合って繰り広げられる戦いが多かった前作にはなかった、ゲリラ的で予測不能な戦いとして観客の目を奪う。
前作では、マーカス(ウィレム・デフォー)やミズ・パーキンス(エイドリアンヌ・パリッキ)など、ジョンを取り巻く殺し屋たちの姿も物語のスパイスとして機能していたが、本作にも魅力的な新キャラクターたちが登場する。特に、かつて『マトリックス』でリーブスと共演したローレンス・フィッシュバーンふんするキングの登場には、映画ファンならテンションが高まることは必至だ。本作では深く語られないものの、ジョンとキングの間には、なかなか複雑で、それでいて強い結びつきがある様子。その関係について多くを語らず、示唆的なセリフによって想像を促すことで物語の引力を高めていく作劇には引き込まれるものがあり、彼らが共闘するという展開にも胸が熱くなる。フィッシュバーンが披露する、切れ味鋭いセリフ回しや、絶妙に“芝居がかった”振る舞いの一つ一つも印象的だ。

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ただ、本作が続編として完全無欠かと言えば、そうではない。前作と比較すると、殺す人数が81人から141人と大幅に上昇しているのだが、その一方ではジョンが絶体絶命の危機に陥る回数が明確に少なくなった。前作での経験から殺し屋としての勘を取り戻したのか、本作では一貫して安定した戦いぶりを見せているため、緩むことはないながらも、「やられてしまうかもしれない」という緊張感が感じられなくなったきらいは、確かにある。特に、『トリプルX』シリーズで知られる女優ルビー・ローズが演じた聾唖の暗殺者アレスとのクライマックスにおける戦いが、聊か盛り上がりに欠けた点は、ストーリーの構成上、非常に惜しまれるものがあった。
とはいえ、物語全体の密度は前作よりも高い。世界中の犯罪組織によって構成される「主席連合」や、ジョンがイタリアやニューヨークで訪れる各所、そしてキングが支配する裏社会のネットワークを新要素として加えることで、物語の世界観は大幅に拡大されている。殺し屋たちが順守する“暗黙の掟”をジョンが破ってしまうという結末も、色々な意味で衝撃的だ。前作から進化した点だけでなく、逆に物足りなくなった点がありながらも、今後の展開が非常に気になる構成になっているのは事実なので、シリーズ2作目としては上々の出来と言えるだろう。

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たびたびホームレスのような恰好でゴシップ誌を賑わすリーブスだが、やはり彼がスタイリッシュなスーツに身を包んで、爆音を響かせる車を駆り、自由自在に銃を操りながら悪人を葬る姿には、思わず見惚れてしまうかっこよさがある。既に始動している3作目は年末から来年始に撮影を開始すると報道されているほか、テレビシリーズでのスピンオフの製作も企画されており、『ジョン・ウィック』の世界はますます拡大されていくようだ。果たして、“伝説”と称される殺し屋は、今後どんな旅路を歩むことになるのだろうか?『ジョン・ウィック』シリーズからは、今後も目が離せない。
(文:岸豊)
監督:チャド・スタエルスキ『ジョン・ウィック』
出演:キアヌ・リーブス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン
配給:ポニーキャニオン 2017年/アメリカ
原題:John Wick : Chapter 2
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- Larsson Trilogy from Quercus, publishers of Stieg Larsson
- The official Millennium site of Nordstedt Publishing (Swedish)
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