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【インタビュー】映画『ラッキー』ジョン・キャロル・リンチ監督インタビュー

映画『ラッキー』/(c) 2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved
ハリー・ディーン・スタントン最後の主演作映画『ラッキー』が2018年3月17日(土)より公開! このたび、ジョン・キャロル・リンチ監督のインタビューが到着した。
──ハリー・ディーンはシナリオの段階から参加したのですか?

ジョン・キャロル・リンチ監督
脚本のローガン・スパークスとドラゴ・スモーニャは、ハリーの出演作と私生活をベースに、ハリーに当て書きをした。ハリーのドキュメンタリーで『Harry Dean Stanton:Partly Fiction』(ソフィ・ヒューバー監督/2012)という作品があって、それはまさに彼の半生を物語る作品だった。ハリーは実際に第二次大戦に派兵され、戦車揚陸艦に搭乗し、マネシツグミを撃ち落とした。
僕はこの映画を、老いや、人生の終盤を生きることをテーマにした映画にはしたくなかった。過去を振り返ってかつての恋人に詫びたり、過ちを正したりするようなね。一人の男が自分をどう見つめ、神や天国という“第二幕”といった安心材料なしで生きる姿を描きたかったんだ。ハリーの人生はまさにそうだった。
──ハリー・ディーン・スタントンとの撮影はどうでしたか?
ハリーは驚くほど繊細でありながら、粘り強さも持ち合わせた男だ。そういう意味で、彼はラッキーだった。ほかのすべての人間にとってそうであるように、彼の寿命が近づいてきているときに、あれだけのバイタリティーがあり、「まだ死なないぞ」と生に食らいつく気持ちは、彼の人間性を表していた。
──俳優としてデヴィッド・リンチを起用したのはなぜですか?

映画『ラッキー』/(c) 2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved
制作陣でハワードを誰に演じてもらうかについて話していて、いろんなアイデアが出たが、最終的にデヴィッドに参加してもらいたいということにった。彼はちょうど、『ツイン・ピークス The Return』のポスプロ中だったので、無理を承知で頼んだが、運よくデヴィッドのアシスタントと脚本のローガン・スパークスが、長年の友人同士だった。デヴィッドは脚本を気に入ってくれたし、ハリーがデヴィッドと仕事をしたいだけではなく、デヴィッドしかありえないぐらいのハマリ役であることを理解してくれた。出演を快諾してくれたのは、ハリーへの敬意からだと思う。デヴィッドはハリーが大好きだったから。彼は俳優に求められる要素をすべて、いやそれ以上のものを持っていた。フレームラインも、カット代わりも、ピントも、すべてを直感的に把握していた。
──監督デビュー作として、ご自身の俳優としての経験が役立ちましたか?
これまでの俳優人生で、監督が俳優にアプローチする姿を見てきて、どうすれば成功し、どうすれば失敗するのかも 見てきた。俳優は、作品に合わせることを要求される。それは俳優の仕事の一部であり、俳優が望むことでもある。そ して監督はそれをする必要がない。けれど、ハリーと仕事をして、俳優としてどうあるべきかではなく、監督である自 分が合わせる必要が大いにあることが分かった。ハリー・ディーンは役そのものになるので、演じているという事実 を受け入れないからだ。
ハリーの俳優としての一番の信条は、“演じない”ということだった。演じない役者をどうすれば、自分の思うように演 出できるのか?結果的に私たちは、そこに到達することができた。また、この作品はハリーの私生活そのものをさら け出すものだったので、ハリー自身の弱みやプライベートに触れたりするものでもあった。ハリーがとても感情的に なったり、やりにくいと感じたときが何度もあり、彼はその度に抵抗した。映画がどんなにフィクションであっても、 彼にも人としての感情があるし、実際の経験を役に生かしていたから。
──『ラッキー』を制作する上で、インスピレーションを得た映画やスタイルは?

映画『ラッキー』/(c) 2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved
『暴走機関車』、『ラスト・ショー』、そして明らかに『パリ、テキサス』。ジム・ジャームッシュの『ミステリー・ トレイン』もだ。この映画にもそうしたヴィヴィッドな色彩はたくさん用いた。そしていくつかのショットで、長回し で撮った。それから、ジョン・フォード映画も参考にした。ジョン・フォードが1人の人物に焦点を当てた映画を作っ たらどうなるかってね。そしてフォードが得意な、フレームに余白をもたせるようなカットを撮った。砂漠もキャラ クターのひとつになるんだ。編集を経て分かったことがある。いい映画というのは、カメラが邪魔していない。そし て、編集をやらないほど、映画はいいものになるとね。それは、観客をストーリーとキャラクターの世界に引き込む、 ということでもある。
映画『ラッキー』
2018年2018年3月17日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
監督:ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』出演)
出演:ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス The Return』)、
デヴィッド・リンチ(『ツイン・ピークス』『インランド・エンパイア』監督)、
ロン・リビングストン(『セックス・アンド・ザ・シティ』)、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット、
べス・グラント、ジェイムズ・ダレン、バリー・シャバカ・ヘンリー
(2017/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP)
配給・宣伝:アップリンク
(c) 2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved
ジョン・キャロル・リンチ JOHN CARROLL LYNCH
1963年8月1日、コロラド州生まれ。ミネソタ州ミネアポリスのガスリー劇場演劇カンパニー在籍時に、コーエン兄弟のアカデミー賞受賞作『ファーゴ』(1996)で、フランシス・マクドーマンドが演じた女性署長マージの夫ノームを演じ、名を知られるようになる。
デヴィッド・フィンチャー監督の『ゾディアック』(2007)では容疑者アーサー・リー・アレン、クリント・イーストウッド監督作『グラン・トリノ』(2008)では主人公のウォルト・コワルスキーが通うイタリア系の散髪店主人マーティン、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2017)ではマクドナルドを起業したマクドナルド兄弟の気のいい兄マック、『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』(2017)ではリンドン・ジョンソン副大統領を演じる。その風貌も相まって、気のいいキャラクターから謎めいた人物まで、コメディ、スリラーからミステリー、メロドラマやホラーなど幅広い作品で強烈な印象を残す。
ピエロのトゥスティ役で出演したフォックスのテレビ・シリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー: 怪奇劇場』(2014-2015)、『ウォーキング・デッド』(2015)、『ビッグ・ラブ』(2006-2007)などテレビ・シリーズにも数多く出演している。アーサー・ミラー作『橋からの眺め』で主役エディ・カルボーネを演じるなど、舞台でも活躍している。本作『ラッキー』は初の監督作となる。妻は女優のブレンダ・ウィール。
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アーティスト情報
関連サイト
- Harry Dean Stanton - インターネット・ムービー・データベース(英語)
- ハリー・ディーン・スタントン - allcinema
- Harry Dean Stanton at the Internet Movie Database
- Entertainment Weekly interview/profile
- Harry Dean Stanton: Partly Fiction (biographic documentary, trailer) on YouTube
- www.harrydeanstanton.org
- DAVIDLYNCH.COM
- デヴィッド・リンチ - allcinema
- デヴィッド・リンチ - KINENOTE
- David Lynch (@DAVID_LYNCH) - Twitter
- David Lynch (Official Facebook Page) - Facebook
- David Lynch Crazy Clown Time - 公式YouTubeチャンネル
- Official website (Requires Adobe Flash Player)
- David Lynch Foundation : Education : Transcendental Meditation
- David Lynch at the Internet Movie Database
- David Lynch at Allmovie
- David Lynch at Moviefone
- David Lynch at Rotten Tomatoes
- Bibliography of books and articles about Lynch via UC Berkeley Media Resources Center
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