本企画は、TSUTAYAプレミアムを利用して1日1本映画を鑑賞し、その記録を予想と感想を交えてお伝えしていくものである。

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2020年1月10日の鑑賞タイトル『モヒカン故郷に帰る』

鑑賞前の期待値「誰にでも起きそうな内容をしっとり楽しみたい」

本日は、劇場版アニメ『天気の子』のBlu-ray＆DVD発売決定や、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮が芸能活動再開といった注目トピックがいくつかある中、Yahoo!トピックスや話題のキーワードに女優の富田望生の名前が挙がっていたので、気になって今作をチョイス。

話題になっていたのは、人気少女マンガ「私がモテてどうすんだ」が、「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の吉野北人主演で実写映画化され、そのヒロイン役を「E-girls」の山口乃々華と“二人一役”で演じるから。同作には、『仮面ライダージオウ』で主演を務めた奥野壮、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』などの伊藤あさひ、今年大ブレイクの予感漂う神尾楓珠ら注目の若手俳優も多数出演する。

ということで彼女の映画デビュー作『ソロモンの偽証』と迷ったが、今日は比較的さらっと鑑賞したい…という気分で今作に。『横道世之介』『南極料理人』の沖田修一監督＆脚本で、松田龍平が結婚報告のために里帰りしたことから巻き起こる騒動を、柄本明、前田敦子、千葉雄大らが共演し描く。ホームドラマというジャンルだけに、ほっこりさせられたい。

鑑賞後の感想「まさに“自然体”な物語が、そこにはあった」

緑のモヒカンがトレードマークの売れないバンドマン・永吉（松田龍平）は、妊娠中の恋人・由佳（前田敦子）と結婚報告をかねて7年ぶりに故郷・戸鼻島に帰郷。矢沢永吉を愛する父・治（柄本明）、広島カープファンの母・春子（もたいまさこ）、弟の浩二（千葉雄大）と久しぶりに家族がそろう。治はだらしない息子に怒りながらも、結婚を盛大に祝福するが、がんが発覚する…。

タイトルからしてなかなかだが、中身はもっとだった。とにかく良くも悪くも“ゆる～い”のだ。キャラクターも描かれる日常も、物語のテーマも、繰り出される笑いも“ベタ”。ただベタな分、一歩間違えば…となりかねないところ、いい感じに力を抜きつつもさらっとまとめあげる辺り、沖田監督の力量が光る。

あらすじなどから分かるように、まとめてしまうと「ダメ息子が久しぶりに帰郷し家族との問題に向き合う」的な内容だが、なぜか見入ってしまう良作。こういう不思議な感覚を覚えると、やっぱり自分は日本人なのかなと再確認してしまう。

それもこれも突き詰めれば、主要人物たちのキャラクター設定が絶妙だから。もう王道も1周近く通り過ぎると逆に素直に笑える。物語は土台としてもちろんしっかりしているが、肉付けをキャラ重視に特化していることが、本作を面白いと感じる大きな要因だろう。

ちなみに、富田望生は柄本明が教える中学の吹奏楽部の部長役。この2人のやり取りが絶妙で、今の活躍を観るまでもなく、その演技力は特筆ものだった。総じて、週末にゆったり観るに最適な一本だ。

『モヒカン故郷に帰る』で一番グッときたポイントは「宅配ピザの競演」

舞台が広島で“広島愛”あふれるネタが豊富なのも見どころだが、ピザハット、ピザファクトリー、ピザーラの3社が競演するシーンに、なぜかちょっと感動してしまった。

『モヒカン故郷に帰る』について

【製作年】2015年
【監督】沖田修一
【出演者】松田龍平、柄本明、前田敦子、もたいまさこ、千葉雄大、木場勝己、美保純、小柴亮太、富田望生 ほか
【あらすじ】沖田修一監督がオリジナル脚本で挑む現代ホーム・ドラマ。モヒカン頭がトレードマークの売れないバンドマン永吉が恋人を連れて故郷に帰ったことから幕を開ける大騒動を描く。出演は松田龍平、柄本明、前田敦子ら。
【Filmarks★評価】3.7（5点満点中）