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「田辺・弁慶映画祭」「田辺・弁慶映画祭セレクション2020」沢村敏さん

【映画祭紹介 ♯3】
映画界とクリエイターを繋ぐ『映画祭』。その映画祭ディレクターにインタビューを行い、映画祭の特徴や今後の展望を伺います。

第3回目は毎年、和歌山県田辺市で開催され、若手映画監督の登竜門として知られる「田辺・弁慶映画祭」と、その受賞作をテアトル新宿などで上映する「田辺・弁慶映画祭セレクション」。
映画祭の立ち上げから参加し、現在まで映画祭のディレクターを務める東京テアトルの沢村敏さんにお話しを伺いました。

プロフィール
沢村 敏氏
東京テアトル株式会社
映像事業部 企画調整部
田辺・弁慶映画祭 ディレクター

「田辺・弁慶映画祭」

2007年から始まった和歌山県田辺市で開催される映画祭(14回目の2020年はオンライン開催)。毎年、若手映画監督を対象としたコンペティションを実施しており、過去の入選、入賞監督がその後商業でデビューを果たすなど、「若手監督の登竜門」として全国的に知られている。
『第14回 田辺・弁慶映画祭』オンライン開催:2020年11月13日(金)~15日(日) 3日間
https://www.tbff.jp/

「田辺・弁慶映画祭セレクション」

田辺・弁慶映画祭で受賞を果たした若手新人監督にスポットを当てた上映企画。映画祭終了後、半年の宣伝期間を経てテアトル新宿、シネ・リーブル梅田のスクリーンで上映を行う。期間中はトークショーや様々なイベントを監督やスタッフたちと企画し、工夫を凝らした上映を行っている。
※『田辺・弁慶映画祭セレクション2020』テアトル新宿 2020年11月20日(金)~12月10日(木)3週間
                 シネ・リーブル梅田 2020年12月18日(金)~12月24日(木)1週間
https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/topics/2020/09081100_10702.html

映画は終わらない祭り

「田辺・弁慶映画祭」を始めたきっかけを教えてください

田辺市を中心に撮影した安田真奈監督の『幸福のスイッチ』(2006)という映画を田辺市で撮影したことがきっかけです。
地域を題材にした映画は、その土地に住む方々にもいろいろとご協力をお願いする過程で、関わり合いを持ちます。その中で、特に田辺市の方々は映画に対してものすごく熱意を持ってくださって、「映画は終わらない祭りだ」とおっしゃる方も現れるなど、作品を超えた「映画愛」が産まれました。 当時、私自身が規模の大きいインディーズの映画祭を企画したいと考えていたこともあり、「それならば、田辺の皆さん、どうですか」と提案したことから始まりました。当時は、こんなに長く続く映画祭になるとは思ってませんでした。

安田真奈監督(https://yasudamana.com/jp/switch/

この映画祭の特徴はどこにありますか?

受賞をすると、その作品が「田辺・弁慶映画祭セレクション」として劇場で上映されます。
受賞作品がそのまま上映される映画祭は、全国で100か所以上ある映画祭の中でもほとんどありません。
もう一つは前述したように地元の方々や来場する全国の映画ファンが若い監督、俳優らに対して非常に情熱的に接してくれるところです。
コンペティション部門の作品はキャパ150名程の会場で上映をしますが、毎年、ほぼ満席状態です。映画祭としてここまで定着化できたのは、地元の方々のご協力があってこそです。
また、映画祭自体を盛り上げてくれることはもちろんですが、期間中は上映後に毎日、ノミネート監督たちとお酒を交わしながら上映作品や映画について語り合うことが恒例行事となっています。
参加した監督たちにとっては新鮮な体験になっているようですし、映画ファンの参加者や審査員を含めた様々な方と関係を築ける貴重な場にもなっています。この点も特徴ですね。

今年はコロナの影響でオンラインでの開催が発表されています。

田辺市で地元の方々との映画漬けの日々を送る従来型の開催をしたいという想いはとても強かったですが、やはり安全面等を考慮し今年はオンラインでの実施となりました。
ただ、応募監督と観る方の接点は、これまで通り大切にしたいので、オンラインでもできる最善策を講じて実施する予定です。

オンライン開催の概要、鑑賞方法は公式HPにてご確認ください。
※田辺・弁慶映画祭 オンライン開催概要ページ(https://tbff.jp/topics/register/

技術だけではない、「何か」を発掘できるように

今年のコンペティション部門応募作品について

今年は4月中旬から3か月間の募集で123本の応募がありました。
募集する際にテーマ設定等は特にしておりませんので、毎年いろいろなジャンル、テーマの作品が集まってきます。
特に自主映画は、その時々の世相や時代性が反映されていて、応募してくれる監督の方々が、毎年どのようなことに着目して、それをどのように表現してくるかを楽しみしています。

123作品の内、今年の入選作品は8作ですが、どのような基準で選ばれますか?

特に厳密な審査基準を設けてはおりません。2ヵ月ほどかけて予備審査と最終審査を行っておりますが、最終的には審査員で議論をしながら決めています。
ただ、技術面は高い作品が総じて多いのですが、選考の際には技術の部分だけでない、「何か」を発掘できるように心がけています。そんな作品にいち早く出合えた時の喜びは、審査員冥利につきます。

満席の劇場のステージに立つ体験を

田辺・弁慶映画祭セレクションについて

前述しましたが、この映画祭の大きな特徴は受賞作品に東京のテアトル新宿、大阪のシネ・リーブル梅田での“上映権”が与えられること。映画祭の作品を劇場で上映するという試みは2011年頃から行っておりましが、セレクションとして受賞作を上映するようにしたのは2014年からです。

作品を広く、一般のお客様に観て頂ける機会は貴重です

受賞作品が実際の興行にかかる映画祭は全国の中でもとても希少です。

また、「発表の場」以外にも、これからの映画業界を担う監督たちに「満席の劇場のステージに立つ体験」を味わってもらいたいという思いも、このセレクションには込められています。

上映の際に、監督たちが登壇する機会を設けていますが、作品の監督として劇場のステージから眺める満席の景色は、特別なものです。作り手にとって、ここから得られるものは多いと思います。
劇場で公開される作品である以上は成績を残すことも大切です。ですが、監督たちには一度でいいからこの景色を見てもらいたい。「自分たちの最初の作品は自分たちで宣伝する」という方針ですので、その喜びも一味違うと思います。

また、受賞監督たちには「明日へのチケット」という自身の上映作品の招待券を渡しています。
これは業界関係者や役者の方々など、自分自身の「次」につながる人たち向けのもので、監督たちが自らお渡しする相手を考えお配りしています。こういった自分自身の宣伝という意味でも有意義なものにしてもらいたいと思っています。

様々な想いが込められたセレクション。今年の上映作品の見どころを教えてください。

芳賀俊監督・鈴木祥監督の『おろかもの』は本映画祭初の5冠を達成した作品。意外な切り口で物語が進み、エンタメ感もあります。鑑賞満足度の高い作品です。この制作チームは以前もこの映画祭で受賞をしています。この点にも注目してみてください。

白磯大知監督の『中村屋酒店の兄弟』は全体的に静かな作品なのですが、その中でもしっかりとした人間ドラマを丁寧に描いていることが特徴です。商業映画ではなかなかできなくなっていることをやっています。

山浦未陽監督の『もぐら』は一見するとかなり解りにくい作品です。ですが、じっくり作品を観ると実は、伏線や前振りが仕込まれています。若い監督が何を考えてこの作品を作ったのかも含め、じっくりご覧ください。

中川奈月監督の『彼女はひとり』の大きなみどころは俳優です。孤独を歪んだ形で埋めようとする高校生の狂気に圧倒されると思います。と同時に監督の演出手腕にも注目です。

田辺・弁慶映画祭セレクション2020上映受賞作品

『おろかもの』(弁慶グランプリ・キネマイスター賞・観客賞・W俳優賞)
芳賀俊監督・鈴木祥監督
<テアトル新宿>   11月20日、12月4日~10日
<シネ・リーブル梅田> 12月18日~21日

『中村屋酒店の兄弟』(TBSラジオ賞)
白磯大知監督
<テアトル新宿> 11月21日~24日
<シネ・リーブル梅田> 12月24日

『もぐら』(映画.com賞)
山浦未陽監督
<テアトル新宿> 11月25日~28日
<シネ・リーブル梅田> 12月22日

『彼女はひとり』(俳優賞)
中川奈月監督
<テアトル新宿> 11月29日~12月2日
<シネ・リーブル梅田> 12月23日

全国の「映画好き」が報われる映画祭

今後の展望を教えてください。

今年はコロナの影響でオンラインでの開催となりましたが、やはり、地元の方々も田辺の地に来て朝から晩まで映画漬けの日々を過ごしてもらいたいという思いが強いです。なので、来年以降、どうなるかはまだわかりませんが、こういった地元の方々を含めた映画への思いや映画での繋がりを大切にしていきたいです。

また、田辺・弁慶映画祭だけでなく、各地の映画祭はそれぞれの地域の方々の「映画が好き」という想いが原動力となり、実施されています。
将来的には、そういった方々の想いが報われるような、映画を愛する人たちのモチベーションを上げられるような枠組みも作っていきたいと思っています。

※2019年開催時の模様

映画業界を目指す方々へのメッセージをお願いします。

田辺・弁慶映画祭、その後の映画祭セレクション上映は監督たちにとっての名刺づくりの場です。
これからを目指す人たちはこういった映画祭をどんどん利用すべきだと思います。
私たちは映画を製作することは容易にできないので、そこを担ってくれるTCPも次のステップとしてどんどんチャレンジし、利用すべきだと思います。
田辺・弁慶映画祭とセレクションで自分の名刺を作り、そして次はTCPでプロとして映画を作る。という流れができるといいですね。

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