本企画は、TSUTAYAプレミアムを利用して1日1本映画を鑑賞し、その記録を予想と感想を交えてお伝えしていくものである。

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2021年3月2日の鑑賞タイトル『王になった男』

鑑賞前の期待値「王の影武者という設定をどう見せてくるのか」

本日は、今週末に公開される俳優・藤原竜也＆竹内涼真の初共演作となる映画『太陽は動かない』（羽住英一郎監督）にハン・ヒョジュが出演するということから、こちらをチョイス。

韓国のアカデミー賞に相当する「大鐘賞」で、2012年に15部門を受賞した本作。主演を今作が初の時代劇となったイ・ビョンホンが務め、王妃役でハン・ヒョジュ、忠臣ホ・ギュン役でリュ・スンリョンらが出演している。暴君と道化師を1人2役で演じたイ・ビョンホンの演技に注目したい。

鑑賞後の感想「入れ替わりの妙が効いたストーリーは素直に面白い」

1616年、権力争いにより常に暗殺の危機にさらされていた朝鮮第15代王の光海君（イ・ビョンホン）は、不安から暴君と貸していた。ある日、王とそっくりな顔立ちをした道化師ハソン（イ・ビョンホン、2役）が、影武者として宮中に連れてこられる。王としての生活に慣れていく中で、重臣たちは、ハソンは政治のあり方に疑問を抱き…。

王と容姿がうり二つの国民が代役を務め、しかも両者の性格は正反対というのは影武者ものとしてはオーソドックスな設定ではあるが、入れ替わりがバレないかというハラハラや、王になりきろうとするハソンの奮闘ぶりが滑稽で、時代劇という見慣れない人にとってのハードルをグッと下げてくれる。

しかし、いくら外見が似ていても育ちも違えば考えたかも違う。立ち居振る舞いを注意深く見ていればニセモノと気づかれてしまいそうなものだが、そのあたりは策を講じて阻止を図る。そしてバレそうになった瞬間にはハソンが機転を利かせて危機を脱するのだが、タネは何ともあっさりしたもの。ただその仕掛けがクライマックスで転用されており、しかも意外にいいシーンになっているのは興味深い。

影武者側のエピソードが面白く、どうやって本物に戻りどのようなオチが待っているのかと思っていると、悪くはない落としどころへソフトランディング。光海君はハソンに、ハソンは光海君にと互いの人生を垣間見たことで影響を受け合い、単なる英雄賛美で終わらなかったのは好感が持てた。

普段は韓国映画や歴史フィクションはあまり観ないという人でも、笑いや涙に胸キュンが要所に散りばめられているので、肩肘張らずにエンタメとして楽しめるはず。ハソンが王になろうと命をかけて挑む姿や、その彼を守ろうと戦った卜部将（キム・イングォン）の生き様に胸が熱くなった。

『王になった男』で一番グッときたポイントは「イ・ビョンホン」

王と道化師の2役を別人のように演じ分けたイ・ビョンホンの演技力に脱帽。威厳漂う王を演じたかと思えば、弱気で愛きょうある男に早変わり。ストーリー展開と共にまた別の表情を…と見事だった。

『王になった男』について

【製作年】2012年
【監督】チュ・チャンミン
【出演者】イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、キム・イングォン、シム・ウンギョン ほか
【あらすじ】「甘い人生」「悪魔を見た」のイ・ビョンホンが朝鮮王朝15代王とその影武者の一人二役を演じて本国国内で記録的な大ヒットとなった宮廷歴史大作。暴君と評され王の影武者となった男が、次第に自らの意志を主張して民のための政治を行うべく真のリーダーへと目覚めていく姿をユーモアを織り交ぜつつスリリングに描き出す。
【Filmarks★評価】3.8（5点満点中）