本企画は、TSUTAYAプレミアムを利用して1日1本映画を鑑賞し、その記録を予想と感想を交えてお伝えしていくものである。

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2021年3月30日の鑑賞タイトル『パプリカ』

鑑賞前の期待値「筒井康隆原作、今敏監督のコラボ」

本日は、現在公開注の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に綾波レイ役で出演、そしてアーティストデビュー30周年を記念したベストアルバム『VINTAGE DENIM』をリリースした声優・林原めぐみが誕生日ということで、こちらをチョイス。

本作は『時をかける少女』などで知られる筒井康隆の小説を基に、『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』といった作品を手がけた今敏が監督を務めた劇場版アニメ。他人の夢に入り込む装置が存在する世界で、夢に入り込み人格を破壊しようとする相手に立ち向かう“夢探偵”の活躍を描く。時代を先取りしたかのようなアイデアの物語に注目したい。

鑑賞後の感想「難易度はかなり高めの作風だが、アイデアと映像が魅せる」

精神医療総合研究所に務めるサイコ・セラピストの千葉敦子（声・林原めぐみ）は、「DCミニ」と呼ばれる装置で患者の夢に入り込み、“夢探偵”パプリカとなって治療を行っていた。ある日装置が盗まれ、研究員たちは不思議な夢を見るように。敦子は犯人を突き止めるため、研究員たちの夢に入り込む…。

希代のSF小説家である筒井康隆と今敏監督のコラボということで、どのような世界観＆映像を作り上げるのかとワクワク。その期待感を、いろいろ意味、そしてさまざまな角度からぶち壊しつつもえもいわれぬ表現を見せつけてくれている。どのような言葉で表現しても適当ではない作品はレビュー泣かせだが、そういう観点から言えば確実に鑑賞して体感してほしい作品とも評せる。

誰かの夢の中へとモグリンで精神を破壊する。某映画も似たようなシチュエーション下でストーリーが展開していくが、やはり人間というものは精神世界への探究心が少なからずあるのだろう。極論だが人生もある側面では“夢”なのかもしれない。今作でもドラマが進むにつれ、次第に現実と夢の境界が曖昧になっていくのだが、その来る者を拒むようで誘っているような外連味たっぷりな見せ方は嫌いじゃない。個人的な見解ではあるが、テレビ版や旧劇場版のエヴァがタイプの人は、きっと面白がれるのでは。

なかなかに難度は高めではあるが、装置を盗んだ犯人捜しや思わぬ方向へと転換していくドラマなど見どころも多数。確実に好き嫌いが二分する作品ではあるが、そのテーマ性は今観てもしっかりと心に響いてきた。

『パプリカ』で一番グッときたポイントは「映像表現」

夢の世界や現実と夢がつながったかのような表現の映像は、緻密で質感も十分に伝わってきたGood。絵のタッチも含め、映像面からもアーティスティックに振り切った世界観となっており、こだわりにぶちのめされる。

『パプリカ』について

【製作年】2006年
【監督】今敏
【声の出演】林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一 ほか
【あらすじ】精神医療研究所に勤める美しきサイコ・セラピスト、千葉敦子は、極秘セラピーを行う時、“夢探偵パプリカ”となって他人の夢に入り込み、心の秘密を探り出していく。そんなある日、敦子の同僚で天才科学者の時田浩作が開発した画期的サイコセラピー機器“DCミニ”が盗まれる事件が発生する。それは悪用されれば他人の人格をも破壊する危険があった。そして、その不安は的中、所内に次々と犠牲者が出始める…。
【Filmarks★評価】3.8（5点満点中）