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【TCPインタビュー】映画『裏アカ』加藤卓哉監督×木村大作監督「基本的にやりたいことはやれた」

映画『裏アカ』

(C)2020映画『裏アカ』製作委員会

葛藤や欲望、そして性への衝動…
この時代に生きる私たちに「本当の自分は?」を問う究極の人間ドラマ

2015年のTSUTAYA CREATORS' PROGRAM(以下、TCP)で準グランプリを受賞した『裏アカ』の企画。2019年に映画『裏アカ』が完成し、2020年6月に公開を控えていました。ところが、想定外の災厄が襲った2020年。日本映画界にも大きな影響を及ぼし、春以降、新作映画が続々と公開延期が発表されました。映画『裏アカ』もそのひとつで、約1年の公開延期を乗り越えて、2021年4月2日(金)から全国で絶賛上映中です!

映画『裏アカ』は、人間の二面性を象徴するSNSの裏アカウントを題材とした作品で、「本当の自分は?」を問う究極の人間ドラマが描かれています。今回、劇場公開のタイミングに合わせて、加藤卓哉監督(以下、加藤監督)が助監督時代に、さまざまな教えを乞い、今も師弟関係にあたるという木村大作監督(以下、木村監督)に対談形式でインタビューを実施!映画公開前の 映画『裏アカ』に込めた思いなどについて語っていただきました。

 加藤卓哉監督×木村大作監督 対談形式インタビュー

――『裏アカ』の企画が2015年のTCPで準グランプリを受賞し、2019年に映画が完成、2020年公開延期を経て、ついにお披露目となりますが、今の率直な気持ちをお聞かせください。

加藤卓哉監督

加藤卓哉監督

加藤監督:長かったなというのが率直な感想ですね。

40歳までに監督になれなかったらこの業界を辞めよう、そんな誓いを自分の中に立てて、助監督をやっていました。TCPで準グランプリをいただいて、その時は6年前だったから30代半ば。受賞したら、1、2年で公開まではいけるだろうと勝手ながら思っていました。実際にやってみると、脚本直しなど、いろいろと大変な時期がありまして。2019年にようやく映画が完成し、2020年公開を予定していましたから。

一番気がかりなのは、2015年ではまだ出始めた頃だった『裏アカウント』というものが、6年経った今でもキャッチーなのかという点ですね。とはいえ、人間の表と裏という時代を経ても変わらない部分は撮ったつもりなので、期待半分、不安半分といったところでしょうか。

――今回が初監督作品となりましたが、この作品の制作過程で、思い通りにできた事と、できなかった事を教えてください。

加藤監督:基本的には思い通りにできましたね。よくプロデューサーに、ここはだめと言われて断念する話を僕も助監督が長かったので、いろいろ聞きますが、「やりたいことはやっていい」と制作のプロデューサーが言ってくださったので、基本的にはやりたいことはやれました。

――木村監督からもご自身の経験を踏まえて、思われることや加藤監督へのアドバイスがあればお伺いしたいです。

木村大作監督

木村大作監督

木村監督:監督として3本しか経験がないから、あまり助言をできる立場ではないと思っているけれど。

僕が67歳の時、『劔岳 点の記』は絶対映画化は無理だろうなと思いつつ、でもやりたいな、という思いがありました。その当時、フジテレビの亀山千広さんが『踊る大捜査線』を作ったあとくらいにこの話に賛同してくれて、東映の配給が決まり、それからとんとん拍子に撮影までいったんだけど、撮影がなんせ標高3,000メートルの険しい山。ヘリコプターなしで、自分たちの足で機材や荷物を担いで山へ登り、延べ2年間、山小屋に200泊以上して撮影を敢行しました。それだけ実現が困難な内容でしたが、最後まで撮りきることが自分の責任だと思って、監督をやりきったわけです。

加藤さんもこれから監督業を生業としていくわけだから、何かでヒットを作っていかないといけないんだよね。1本ヒットすれば10年は監督できるよ、いや本当に。僕も『劔岳 点の記』が幸いにしてヒットしたんでね。初監督をやってから、もう12年目ですよ。あとの2本は、それがあったからできたんじゃないかと思うぐらいですね。

自分がやりたいものをやって、それで大ヒットじゃなくてもいいからヒットをさせることが大切。お金を出してくれた人たちに、ちゃんと元が取れるような作品を1本作れば、この『裏アカ』がそうなってくれれば一番いいんだけど。そういうことを考えないと先々の人生困ったことになっちゃうからね。

ただ僕の気持ちとしてはね、僕自身が次回作をいろいろ準備しているわけですよ。なかなかうまく進まないけど。でも進んだら、そのときにスケジュールが空いていたら助監督をまたやってくれないかな。

加藤監督:ちょうど木村さんが『散り椿』を撮ってらっしゃったときに、助監督で参加しないか?と、お声掛けいただいたんですが、僕は『裏アカ』の企画を進めていたので、参加できませんでした。

木村監督:ぜひ参加してもらいたかったんだけどね。でも結果、参加できたはずだけどね。

加藤監督:そうなんです。すいません、結果的にはできたんですけど。そのときは偉そうに「僕も『裏アカ』の撮影が入るかもしれないので」って言ってしまいました。

木村監督:準グランプリとは言えどもね、TCPを通過したっていうのをはじめて聞いたときに、「わぁすげーな」と思いましたよ。なかなかさ、シナリオがそういうコンテストに通っていくのは、並大抵のことじゃないよね。自分もその苦労は分かっているから。

 加藤卓哉監督×木村大作監督 対談形式インタビュー

――木村監督は今回加藤監督の現場へ駆けつけたとお伺いしました。

木村監督:僕が応援に行ったのは、1日だけなんだけどね。キャメラマンの池田さん、そのほかにも知ってるスタッフがいっぱいいてね。久しぶりにみんなと会って、見学や出演も含めて楽しかったですよ。少しだけど協力できたなと思って。これからも何かあったら声掛けてよ。

――木村監督がご出演されているのは、大衆食堂のシーンですね。加藤監督からの演技指導みたいなものはあったんですか?

加藤監督:最初のテストのときに、木村さんが電柱にかぶってたんですよ(笑)。ご自身が撮影するときは、あれだけ厳しいのに…まさか、と。「もしかして木村さん、緊張されているのかな」って思ったり。

木村監督:ロングショットで撮影ということは分かっていたんだけど。それでも表情とか、仕草とか、に集中しすぎて、位置までは気にしてなかったよ。

加藤監督:出演してもらう予定はまったくなかったんですよ。大衆食堂の表に味のあるエキストラが欲しいねって話になり、その場の流れで「木村さん出てくださいますか」となんとなくお願いしてみたら、「いいよ」っておっしゃってくださって。応援に来ていただいたうえに出演までしてもらって、本当に贅沢なことをさせてもらいました。

あと、現場で「加藤」じゃなくて、「監督」って木村さんがおっしゃってくださったんですよ。それがなんか、今でも覚えていますね。ちょっと感慨深いものがあります。

――ジーンときますね。

木村監督:僕も現役でやってるけど。長い人生これからね、いろんなことができるじゃないですか。1本の作品にいろいろ準備がかかったり、私もそうですが、我慢もしなければならない。加藤さんは、自分で企画を考える立場にもなっているから前途有望ですよね。

加藤監督:前途有望では、なかなか…。木村さんのお話にもありましたけど、やっぱヒットさせなければ、次につながらないですから。1本撮ることはできても、それを続けていくっていうのが本当に大変な業界だと思います。

――映画『裏アカ』はSNSから着想を得た作品でしたが、次はこんな題材で撮ってみたい、関心のある話題はありますか?

加藤監督:自分の肌感覚としては、僕の子供の頃は周りの大人はみんな笑ってて、なんとなく空気がとっても活気があったと思うのですが、震災があって、コロナがあって、不安がずっしりのしかかっている現代だと感じるので、そういう時代に合ったもの。

いま興味があるテーマは、人の生死でしょうか。みんなどっかで不安を持っていると思うので、それをまじめにやるのか、エンターテイメントにするのかは、いろいろ選択肢があるだろうし、挑戦してみたい。

それと、うちには4歳の子供がいまして、男の子なんですけど。親子のつながりみたいなのはいつかやってみたいなと。

いろんな作品、バラエティに富んだ作品を撮りたいなと思っています。2作目の『完全なる飼育 étude』(2020年公開)も『裏アカ』同様に濡れ場がある作品だったんですけど。それにこだわっているつもりはまったくなくて、いろんな作品を撮りたいなと思っています。

(取材・文:奥山あゆみ)


瀧内公美と神尾楓珠が共演の映画『裏アカ』。加藤卓哉監督と師匠の木村大作監督にインタビュー!

TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2015 準グランプリ受賞作品
映画『裏アカ』
2021年4月2日(金)新宿武蔵野館、池袋HUMAXシネマズ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー

映画公式サイト公式SNS

公式SNS(裏アカウント):※閲覧するには表アカウントをフォローする必要があります。

出演:瀧内公美 神尾楓珠
市川知宏 SUMIRE 神戸浩 松浦祐也 仁科貴 ふせえり 田中要次 他
監督:加藤卓哉 | 脚本:高田亮 加藤卓哉
製作:映画『裏アカ』製作委員会
配給:アークエンタテインメント
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
(C)2020映画『裏アカ』製作委員会

あらすじ

青山のアパレルショップで店長を務める伊藤真知子(瀧内公美)は、どこか満たされない毎日を送っていた。自分の意見は採用されず、さらに、ナノインフルエンサーでもあるショップ店員の新堂さやかに仕事を取られるなど、ストレスは溜まる一方に。何気ない一言がきっかけでSNSの裏アカウントを作った真知子は、その裏アカに際どい写真を投稿した。すると表の世界では得られなかった多くの反応に快感を覚え、どんどん過激な写真をアップするように。同じ心の乾きを持った年下の男 “ゆーと(神尾楓珠)”と出会って惹かれていく。表と裏、愛情と憎悪、真実と嘘、理性と欲望という、相対する2つが激しく交錯する中、真知子に訪れる結末とは…。


加藤卓哉監督プロフィール

1978年生まれ。東映株式会社 東京撮影所所属。『劔岳 点の記』(09)(木村大作監督)、『孤高のメス』(10)(成島出監督)、『わが母の記』(11)(原田眞人監督)、『あなたへ』(12)(降旗康男監督)、『アゲイン 28年目の甲子園』(15)(大森寿美男 監督)、『くちびるに歌を』(15)(三木孝浩監督)など、 さまざまな監督のもと、多岐に渡る作品で助監督を務める。 短編『春の佳き日』でSHORT MOVIE CONTEST グランプリを受賞。TSUTAYA CREATORS’ PROGRAMで準グランプリを受賞した企画の本作で、長編デビューとなる。長編第2作目となる『完全なる飼育 étude』は2020年に公開されている。

木村大作監督プロフィール

1939年生まれ。1958年、東宝撮影所に撮影助手として入所。『隠し砦の三悪人』(58)で黒澤明組に初参加、『用心棒』(61)『椿三十郎』(62)『どですかでん』(70)で撮影助手を務め、73年、須川栄三監督『野獣狩り』で撮影を初担当。『八甲田山』(77)『復活の日』(80)『駅 STATION』(81)『居酒屋兆治』(83)『火宅の人』(86)『あ・うん』(89)『誘拐』(97)『鉄道員』(99)など代表作多数。09年、初監督作『劔岳 点の記』でキネマ旬報ベスト・テン監督賞を受賞。監督作に『春を背負って』(14)『散り椿』(18)がある。

「TCP」について

「創りたい映画の企画があるがどう実現すれば良いのか分からない」「撮影した作品の提供先がない」といった映画ファンやクリエイターたちのアイデアや希望を形にすることを目的に立ち上がったプログラム。プロ・アマ問わず募集した企画の中から受賞した作品を映画化するためにTSUTAYAが総製作費・制作体制のバックアップをします。

TCP公式サイト

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