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無関心と保身から起こる悲劇、14年ぶりの映画出演イ・ヨンエ主演『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』【マニアックでもケンチャナヨ?】

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

「全てが真実を隠している」

これは、今も世界のどこかで起こり続ける児童の失踪事件、児童労働といった社会の闇を背景に描かれたサスペンス韓国映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』の韓国でのポスターに書かれたコピーです。本日の紹介作品となります。
イ・ヨンエ待望の14年ぶりの映画出演となり、6年前に失踪した子どもを探し続ける母親役ジョンヨンを演じます。
あまりに残酷すぎる状況に目を伏せたくなるような場面が終始続き、母親の強さという言葉では決して片付けられない、社会の闇と誰もが加担者になる可能性を潜めた人間の無責任さも訴えかけているように感じます。

『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』ストーリー

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

これが『親切なクムジャさん』以来14年ぶりのスクリーン復帰となるイ・ヨンエが、行方知れずとなった息子の捜索に執念を燃やす母親を演じた衝撃のサスペンス・ドラマ。共演はユ・ジェミョン、パク・ヘジュン。監督は本作が長編デビューとなるキム・スンウ。

ソウルの病院で看護師として働くジョンヨンは、6年前に当時7歳だった息子ユンスが公園で姿を消して以来、懸命にその行方を捜し続けていた。ある日、そんな彼女のもとに有力な目撃情報が寄せられる。その情報を頼りに郊外の漁村へ向かい、ユンスに似た少年ミンスがいるという“マンソン釣り場”を訪れたジョンヨン。しかし釣り場を営む一家も従業員も“ミンスなんて少年は知らない”と言い張るばかり、頼みの地元警察も不自然なまでに非協力的で、明らかに何かを隠していると直感するジョンヨンだったが…。

ストーリーの展開のテンポが早くて、観ていてあっという間に終わる気がしました。
なぜだろうかと考えたのですが、大抵の他のストーリーは、主人公が残酷な状況に陥ったとしても、少なくとも誰か1人救いとなる存在が登場します。しかしこの映画は、誰も助けてくれない・誰1人として味方がいないので、母親のジョンヨンは1人で立ち向かわなくてはいけず、あまりの救いがない状況に観る側も、ホッと息をつく場面に出会えないところがこのストーリー展開の速さにも繋がっているように思えます。

最初は「誰もいない」がタイトルだった

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

この映画が初の長編映画デビューとなるキム・スンウ監督。製作に12年間準備した作品だと製作発表会で述べました。
ある日、道を行く途中に「子どもを探しています」という横断幕を見かけて、その時横断幕を掲げた人々は、どのような事情を持っているのかと疑問を持ったことからこの映画のシナリオが完成したそうです。
当初は「誰もいない」というタイトルだったのが、監督自身気持ちが変化していき少しでも慰めになり、希望になる話にしたくなったと監督自身の視線が変わっていったそうです。

面倒なことに巻き込まれたくないそんな気持ちが引き起こす悲劇

 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

誰もが面倒なことに関わりたくなくて見過ごしてしまうことがあるのではないでしょうか。
もしくは誰かがやってくれるだろう、そんな日常に喝を入れるような悲しい台詞があります。
息子に似た少年ミンスがいるという“マンソン釣り場”は、釣り人客が毎週大勢訪れる場所。怪しまれるのでは?と心配した地元の人に対して、

「所詮他人事、みたとしてもみてないと答えるさ。」

この痛烈なセリフが心に非常に残りました。誰もが悲劇の加担者になっている可能性があることを思い知らされる場面でした。釣り場に客が沢山いたはずなのに無関心な人々や面倒なことに関わりたくないという人ばかり。そして保身のために絶対に子どもを隠し続け引き合わそうとしない地元の人々。

 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

そして最も残酷な人物が保身しか頭になく真実を共に隠し、自分の思い通りにならないとキレる警察長官。この悍しい警察長官を『梨泰院クラス』の名悪役として大企業長家の会長ユ・ジェミョンが演じます。この警察長官は、趣味が狩りで、ただ殺すことを楽しみにしているから狩りをしているあたり、彼の暴力性と残酷さを表していました。正義を掲げなくてはいけない警察官が最も冷酷な人物であり「保身」しか頭にありません。

虚偽の情報提供、児童虐待と暴力、児童労働、警察の不正など、どこまでも突き落とす救い用のない展開、それでも母親が子どもも想う力の凄さをこの映画で見せつけられた気がします。人間の保身や無責任さからの悲劇に立ち向かい見える小さな希望を決して明るいとは言えないですが、ぜひ一度観てみるのはいかがでしょうか。

【マニアックでもケンチャナヨ?】決して明るい物語ではない。しかし、誰もが悲劇の加担者であると自らの保身にハッとさせられる映画

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人

製作年:2019年
出演者:イ・ヨンエ、ユ・ジェミョン、パク・ヘジュン、イ・ウォングン、キム・イーキョン、パク・キョンヘ、ホ・ドンウォン、ペク・チュヒ

【Editor】CHITOSE/ちとせ

CHITOSE/ちとせ。韓国語を学びに韓国の語学堂に留学し、韓国の伝統建物「韓屋」のシェアハウスで2年生活した経験を持つ。少しだけマニアックな内容を主にお届けします。

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