佐藤健のスキルの高さを再確認

先日取材した映画『護られなかった者たちへ』（瀬々敬久監督）の完成披露試写会の舞台あいさつで、俳優の佐藤健＆阿部寛が11年ぶりに共演したという話題が出たことをきっかけに、せっかくだから思い、共演作である『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』を観直してみた。

言わずと知れたドラマ『トリック』シリーズの放送開始10周年（※2010年当時）を記念して作られた劇場版3作目の本作。仲間由紀恵演じる山田奈緒子と、阿部寛演じる上田次郎の“迷コンビ”が、「霊能力者バトルロイヤル」に参戦するというストーリーなのだが、松平健、佐藤健、戸田恵子、夏帆、藤木直人ら豪華キャストが出演したことも話題となった作品だ。

そもそも劇場版第2作『トリック劇場版2』で完結したと思わせておいての復活、というのがまさに“らしさ”全開。本シリーズに“整合性”や“調和”を求める方がどうかしているのかもしれない（笑）。そういったフワッとした部分を楽しんでこその『トリック』と言えるだろう。

今回改めて鑑賞して思ったことだが、展開が読めそうで読めるところから、そんなところに意外性を、さらにコメディーチックな演出がありながらもダークサイド的な雰囲気が満載といった部分まで、どこを切り取ってもまさに『トリック』テイストのオンパレード。狙いすましたかのような見せ方は、加減させ間違えなければ悪くない。

個人的には翔平を演じた佐藤健のちょっとイケてない田舎の青年ぶりが◎。普通の人ならダサすぎるであろうファッションも、彼が着ると不思議とバランス良く見えてしまう。独特のイントネーションで話す感じも素晴らしく、当時から素敵な役者だと思っていたが、改めて観ても演技力の高さに驚かされた。

物語のトリックやネタに関しては凝られたものから笑いを狙ったものまで、さまざまあるが、あくまでもミステリーチックな世界観。そのあたりの正確性はサラッと流して、どこまでもキャラクターとテンポ＆ノリを堪能することをオススメする。今作を観ていたら、ドラマシリーズ＆劇場版シリーズを前作観直したくなった。

---

製作年：2010年

劇場版 TRICK 霊能力者バトルロイヤル

監督：堤幸彦
出演者：仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、松平健、佐藤健、夏帆 ほか

レンタル・購入する

レンタル・購入する

レンタル・購入する

著者：    中山七里／出版社：宝島社

護られなかった者たちへ（文庫）

購入する

購入する

購入する

【フリーライター】遠藤政樹

映画やドラマ、アニメにマンガ、ゲーム、音楽などエンタメを中心にインタビューやスチール撮影ありのイベント取材、コラム、レビューを執筆。IT系や企業案件もこなせるフリーの編集・ライター。お仕事も随時、募集中。

執筆記事一覧