│第5位:『五等分の花嫁』
五つ子の姉妹と彼女たちの家庭教師となった少年とのドタバタ恋愛漫画。
いわゆるラブコメでありながら、第一話から読者への挑戦状的な要素を入れてくるまさにミステリー×恋愛モノ。
同じ容姿の五つ子、そのうちの誰かと結婚をする。
確定された未来から現在の中でその相手は誰なのかを推理する楽しさ。
2020年に完結となったわけですが、基本的にすべてのフラグを回収し綺麗な最終回を迎えました。
全員結婚エンドみたいな予想もたてられてしまう仕掛けや、ラブコメ的なシーンにスパイス的にヒントを差し込んでいたり。そんな情報にミスリードされることもしばしば。
「可愛いだけの単純なラブコメ作品でしょ?」なんて思って読まないのはもったいない濃厚な作品です。
│第4位:『撲殺ピンク~性犯罪者処刑人~』
性犯罪者に全てを奪われた青年と少女。
2人は繰り返される性犯罪者を裁く処刑人となり歪な正義で性犯罪の悪に立ち向かう。
性犯罪は心をむしばみ、被害者に大きな傷を残す。
実際にその悪夢を知っている主人公2人がその大きな罪を裁いていく…。
このように作品を一言で表す事を、このレビューを書きながら非常に迷った。
この作品は登場人物一人一人の人間ドラマの側面が強く書かれている。
性犯罪により何もかも奪われた青年と少女がお互いを大切に想い暴走するシーンには涙を流さずにはいられなかった。
まだ1巻が発売されたばかりでここからどう物語は進んでいくのか、非常に気になる作品だ。
│第3位:『リリースレッド 怪異の起こる街』
不思議なぬいぐるみと一緒にとある街に住むリリー。
リリーは怪奇現象についてまとめたwebサイトを日々更新していく。
連作短編形式で描かれる不思議で温かくて、恐ろしい物語。
毎話、短編ながら読者を楽しませる仕掛けがあり怖いと思いきやホッコリしてしまったり思わず声が漏れてしまうような驚きがあったり。
そして「あれ? 本当は…」と読者に疑問を持たせるラストがあったりと物語の楽しみ方を存分に与えてくれる1冊…なのですが…ラストのお話で一気にゾっと鳥肌が。
緩く読めるのに「記憶に刻まれる」そんな作品。
│第2位:『Mr.マロウブルー』
高校の頃いじめにあい、7年間一人暮らしで引きこもりをしていた彼。
彼が自ら命を絶とうとした瞬間、彼はその家から遠く離れた学校で女子高生になっていた…。
この作品は27歳の男性と女子高生のいわゆる入れ替わりものだ。
いじめにあい引きこもりとなったものと、現在進行形でいじめにあっているものの入れ替わり。
非情に丁寧に状況や心境を描いており、非常に心が痛くなるシーンが多い。
1巻は基本的には女子高生になった27歳の男性目線で物語が進んでおり、いじめにあった過去の記憶、それに合わせて現在進行形でいじめにあうという状況は見ていられないほど辛い。
そして、同時に彼と入れ替わった彼女の自分をいじめていた存在への復讐が始まろうとしているような描写もあり…。
複雑に絡み合う人間関係とそこにある想い。
この作品に出合えた事が本当に運がよかったと思うほどの名作。
│第1位:『マザー』
先へ進むための涙、絆を描いた涙なくして読めない短編集。
この作品集に収められた作品はどれも素晴らしい。
例えば「アイジンとぼく」という物語は、あるとき酔った母親にアイジンを倒しに行くぞ!! と夫の愛人の家に連れていかれた少年。
そのあと少年は母親が悲しい思いをするのは怪物アイジンのせいだ!
ヒーローコウタマンとしてアイジンを倒すため、アイジンの家に一人で向かうという物語なのだが、段々とアイジンと接していく中で成長し、子供ながらに人を理解しその結末としてでたセリフに、とてもじゃないが涙を堪えることが出来なかった…。
人は正しく生きようとして間違うものだと思う。
そして、その間違いに対してどのような行動を取るかによって、その人の本質が分るのではないだろうか。
私は漫画や小説から大切な事を学んできた。
この「マザー」は今の時代に考えるべき大切な何かが詰まった作品集だと思う。
今回のランキングは「小説読み書店員としてオススメしたい心に響いたコミック」という目線でセレクトした本当に読んで欲しい作品です。
作品には合う合わないがもちろんあるのですが今回紹介した作品はきっと読んでみて損はしないと思いますよ!
年末年始もしよろしければこの中から1作品でも楽しんでいただけたら幸いです。
今回のランキングは「小説読み書店員としてオススメしたい心に響いたコミック」という目線でセレクトした本当に読んで欲しい作品です。
作品には合う合わないがもちろんあるのですが今回紹介した作品はきっと読んでみて損はしないと思いますよ!
年末年始もしよろしければこの中から1作品でも楽しんでいただけたら幸いです。
(文:仕掛け番長)
【コンシェルジュ】仕掛け番長
栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』
Twitter(@maron_rikiya)