現在週刊ヤングジャンプにて連載中の『【推しの子】』。
『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカ、『クズの本懐』の横槍メンゴがタッグを組んで描く本作は、ミステリー要素と業界ものの魅力の詰まったストーリーと、多くの読者を魅了しオーラすら感じさせる画力の合わさった異色の作品です。
以前の記事でタイトルに隠された秘密やヒロインのキャラクターなどについて触れましたが、本記事では作品を描くきっかけや想いについて赤坂アカ先生、横槍メンゴ先生に色々聞いて行きます。
│目次
1.衝撃の結末は“ある人”に向けて考えられていた?!
2.大河ドラマのように一人のアイドル人生を追い続ける作品へ
│1.衝撃の結末は"ある人"に向けて考えられていた?!
栗俣(インタビュアー):前回の記事ではありがとうございました! タイトルの【】に込められた想いやルビー、有馬かな、黒川あかねのヒロイン3人の物語での立ち位置など、個人的にはさらに『【推しの子】』にどっぷりとハマってしまいました。そして、最新刊の6巻の舞台編も最高でした! この先の展開もますます気になります。
赤坂アカ先生(以降赤坂先生):ありがとうございます。7巻でも舞台編が展開され、その後サスペンスパートへと移っていきます。そして実は物語の結末についてはすでに決めていて、そこへの展開を作者側も楽しみながら書いています。
横槍メンゴ先生(以降横槍先生):あれ、なんとなく「こんな感じかな?」っていう話は聞いた気がするけれど、結構悩んでたよね? 万が一、今アカ先生が執筆を続けることができない状態になったら、私、『【推しの子】』を続けられる自信がないよ(笑)。
赤坂先生:あれ、言ってなかったっけ? ちょっと待って、今メッセージで送るね!
横槍先生:うん、お願い!
赤坂先生:……………送ったよ!
横槍先生:ありがとう!…………え、これで行くことに決めたの?!
赤坂先生:うん! これに決めた!!
栗俣:とても気になりますが、聞きづらいですね(笑)。
横槍先生:さきほど万が一の話をしましたが、もしも本当に私がアカ先生の代わりに『【推しの子】』を書き続けて物語を完結させるようなことになれば、読者のみなさんには声を大にしてこう言いたいです。「これは、アカ先生が考えたことです!」と(笑)。
(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社
栗俣:なんと! それほどの衝撃的な結末なのですね。
赤坂先生:おそらくこの結末をメンゴ先生はお好きだろうなと狙って考えたものです。
栗俣:そうなのですね。そうであれば一つお伺いしたいのですが、今回赤坂先生が横槍先生と一緒に描くことになった背景に可愛いキャラクターを描かれるからということはよく言われていますが、この衝撃の結末も横槍先生と一緒に描く理由の一つなのでしょうか?
赤坂先生:物語の結末については、描きながら悩み続けていた部分なんですよね。
横槍先生:そうですね。だから、アカ先生が今回私に声をかけてくれた理由ってこの結末はあまり関係なくて、漫画家としてどんな展開や描写に感情が揺さぶられるか、言ってみれば好きな“エモみ”が似ていることが一番の理由なのかなと思います。
(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社
赤坂先生:そうだね。あと、僕はターゲットを絞って「この人に届けるんだ!」という明確な意思を持って描くことが多いんですよね。実は今回の『【推しの子】』ってメンゴ先生をターゲットにしていて、誰よりも夢中になってもらいたいという思いを持って描いてるよ。
横槍先生:なるほどね! 確かにターゲットを決めないと客層がぼんやりするもんね。大ヒット作品ってこのあたりが明確だから、とてもいいと思う。
│2.大河ドラマのように一人のアイドル人生を追い続ける作品へ
栗俣:未来を見せつつ、過去の重要な出来事を展開していく「登場人物へのインタビュー」からスタートする序盤の構成ですが、読者の考察の的にもなっていますね。
赤坂先生:この構成は企画を練っていくうちに決まったものです。この作品、はじめはルビーやアクアたちが赤ちゃんから子役時代にかけての物語が展開されますが、特に赤ちゃん時代はこの先果たしてどうなるのだろうという不安があると思うんですよね。その安心材料として未来を読者に提示することが大切だなと思いこの構成にしました。
(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社
横槍先生:アカ先生、子役編をもっとガッツリ描いてもいいかもって言ってたよね。
赤坂先生:うん。実は大河ドラマのような一人の人生を追うような物語を描きたかったんだよね。『【推しの子】』で言えば一人のタレント人生、朝ドラに採用されても面白いなと思いながら考えていたんだ。だから子役編がもう少し長くてもよかったかなと時折思うんだよね。
横槍先生:でも、アカ先生と話していると次から次へとやりたいことが無限に出てくるからすごい。毎回話を考えるのが楽しいんだよね。
赤坂先生:ありがとう! もともとお話づくりを専門としていたからね。僕もメンゴ先生が時間があればラクガキするっていう話を聞いてすごいなと思っているよ。
横槍先生:こういったお互いの得意があるからこそ、作品づくりが上手くいっているんだろうね。さて、ラクガキする時間をつくってもっと元気出していきますか!!
(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社
栗俣:『【推しの子】』が実は横槍先生に向けて考えられていること、大河ドラマのような作品づくりをされていることなど、非常に貴重なお話でした。本日はありがとうございました!また、よろしくお願いします。
赤坂アカ先生・横槍メンゴ先生:こちらこそ、ありがとうございました!!
(文:仕掛け番長)
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【コンシェルジュ】仕掛け番長
栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』
Twitter(@maron_rikiya)